任天堂はかつてWiiやDSを投入することで、これまで若い男性がメインユーザーだったゲームの世界を、女性や中高年も楽しめる世界に変えてしまった。そのためにゲーム人口は一気に広がった。電車の中でDSを使って脳トレをやっている中年女性、あるいはWiiを使って家族でスポーツゲームをやる人々が新しく誕生した市場である。

 ところが、せっかく自分たちが広げたゲーム機マーケットを、携帯電話に奪われてしまった。電車の中で携帯電話やスマートフォンを使ってゲームをやっている人は、年代性別を問わず多数存在する。以前だったら車中でDSを使っていた中年女性が、今は携帯に向かってゲームをやっている。

 ゲームをやる人口は増えているし、ゲームをやる時間も増えているのに、ゲーム機は売れなくなり、ソフトも売れない。代わりに儲かるのはモバゲー(DeNA)やGREEのようなケータイ電話専門のゲーム会社である。

 携帯電話会社はドコモのような通信会社であれ、シャープのような携帯端末会社であれ、任天堂やソニー・コンピュータエンタテインメントに戦いを挑もうと思っているわけではない。自分たちの通信ビジネスあるいは端末ビジネスを、より便利に、あるいは競争相手に対して差別化するために、いろいろな機能を付け加えているだけなのである。その結果が、ゲーム機業界を苦境に陥れる。なんとも皮肉な話と言える。

 他にも携帯が壊しつつある業界は多数存在する。たとえば、腕時計業界。昔はビジネスパーソンには腕時計が必需品だったが、今は携帯で時計機能を代用すれば十分とばかりに、腕時計を持たない若者が増えている。

 カメラ業界もそうかも知れない。携帯カメラがどんどん高性能化して、画素数だけならデジカメ並みだ。そうなるとデジカメをわざわざ持ち歩かずに、携帯のカメラ機能で十分と考える人も増えている。

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