メディア規制を巡って抗争ぼっ発?

写真拡大

 「阪急電車」の映画化で話題になっている有川浩氏。そんな有川氏の代表作『図書館戦争』シリーズ(角川書店/刊)の文庫版が4月から5ヶ月連続で刊行されている。

 メディアが厳しく規制する『メディア良化法』成立後の日本が本シリーズの舞台。
 表現の自由を守る「図書隊」と、表現の規制を推進する「メディア良化隊」とが、武装化して抗争を繰り広げており、図書隊の中枢で特殊部隊員である笠原郁を主人公にした物語だ。
 有川氏の代名詞ともいえるラブストーリーもありながら、「表現の自由とは?」「なぜ規制されなければいけないのか?」などなど真摯なテーマに正面から取り組んだ意欲作でもある。

 5月25日に発売されたシリーズ3巻目『図書館危機』(角川書店/刊)には“禁止用語”をテーマに書かれた話がある。現実に出版や放送業界などでは、意外にも日常で使われている言葉にも禁止用語として扱われているものがある。秩序のために規制は必要。けれど規制は何のためにあるのか、誰のためにあるのか? そんなことを考えさせられるテーマである。

 ベタ甘とも評されるラブストーリーで知られる有川氏だが、緻密な設定と描写にも定評がある。その創り込まれた世界観が「もし本当にそんな世界になってしまったら?」と思わせるポイントなのかもしれない。

 文庫化にあたって、アニメDVDの特典のために書き下ろされたショートストーリーも収められているが、さらなる特典として、有川氏と、読書家としても知られ先日亡くなった児玉清氏による対談も掲載されている。

 エンターテイメント性に優れ、深いテーマも備えたうえ、貴重な対談も収録したこのシリーズ。
 4巻が6月23日、5巻が7月23日、最終巻が8月25日に発売予定だ。梅雨の合間、夏休みなどに、シリーズまとめて楽しんでみてはいかがだろうか。
(ライター/石橋遊)



【関連記事】 元記事はこちら
寝とられた女の選んだ道とは?
“伊坂幸太郎”作品の魅力とは?
夏のミステリーは東野圭吾で楽しもう
東野圭吾の新作は破壊された東京で繰り広げられるミステリー