平和な平常が、瞬く間に崩れ去った3月11日の出来事から3か月が過ぎました。

 スポーツライターの乙武洋匡氏は、東日本大震災について各界の著名人たちがメッセージを寄せた書籍『ともに生きる』の中で、「今の日本には、"前向きに頑張ろう"という呼びかけと、それと表裏をなすかのような自粛ムードと、この二つの価値観がせめぎあっている。また"経済復興のために元気よくふるまうべき"なのか、"そんな無神経なことはできないし、そもそも元気などない"のか、こうしたジレンマに多くの日本人が悩んでいる」と分析します。

 そうしたジレンマに対し、「そのどちらも間違っていない」というのが、乙武氏の出した答えでした。
 
 乙武氏は震災を通じて、自らの「障害」という現実をあらためて突き付けられたそう。もし自分が津波にあったら、電動車椅子で逃げることができるのか。充電が尽きたらどうなるのか。そもそもがれきの散乱するなかを移動できるのか......。また、自分は炊き出しやがれき撤去もできない。被災者の方に何もできないという辛さを感じ、己の無力さを痛感したといいます。

 しかし、かねてから著書やその他の手段を通して、「できることもあればできないこともある。みんな違っていい」と語ってきたことを思い出し、今この場面に当てはめようと考えたそうです。
 
 つまり、人と同じ助け方はできなくとも、「少しずつ前向きになれるお手伝いをする」ことならできるのはないか、と。

 それ以降、乙武氏はツイッターで面白おかしく、時にはバカバカしいつぶやきを発信しはじめました。「面白い。震災以来、初めて笑うことができました」といった福島の人からのメッセージには、涙をこぼすこともあったそう。ふざけたツイートに対する「不謹慎だ」という批判を受けることは覚悟の上。"少しずつ"元気を取り戻してもらうことを乙武氏は願っているのです。

 「非」被災地の人に乙武氏はこう呼びかけたいといいます。

 「どんなに小さなことでもいいから"自分を役立てる方法"を考えてほしい。自らの持ち味や能力を他者に向けて用いることを考えてみてほしい。それは苦しむ人を支えるためだけではなく、"人とつながれる自分"を実感することで、自分自身の幸福感を高めることができる。どんな小さなことでも、一人が他者を思いながら生きることは、それは人と人をつなぐ原動力。この国の真の活路はそこにあるのではないでしょうか」。



『ともに生きる』
 著者:
 出版社:PHP研究所
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