どうして人々は血液型診断にとらわれてしまうのか?

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 ちまたにはたくさんの性格診断が溢れています。
 代表的なものをあげるとすれば血液型診断や占星術などがありますが、他にも人相、体型、手相、筆跡など、多岐にわたっています。

 さて、これら多くの性格診断は、実は“疑似科学”の中に含まれます。
 疑似科学とは、科学的に正しいと思われているが、実は根拠がない方法論のこと。ほとんどは科学的に実証されていないものなのです。にもかかわらず、どうして人は、血液型診断や占星術の結果を信じてしまうのでしょうか。
 日経BP社から出版されている『性格のパワー』(村上宣寛/著)で、その理由を探ってみると、人間の歴史が大きく関係していることが分かりました。

 例えば占星術。最も一般的なものは「星座占い」ですが、この歴史を掘り下げると、古代バビロニアや古代中国までさかのぼります。
 当時、星たちは神話世界の象徴でした。そして、星座や惑星は神々と同一化されており、ある星の配置の下で生まれてきた人は、その星(神)の性質を分与されると仮定されていたのです。これが現在の星座占いへとつながっています。

 また、血液型診断も同様に、起源を古代ギリシャ時代に持ちます。
 血液型診断といえば、ABO式の4類型が最も有名ですが、実は、古代ギリシャにも「四気質論」と呼ばれる、人間の体液を4つに分類した“気質診断”が存在しました。4つの体液とは血液、黒胆汁(こくたんじゅう)、胆汁、粘液のことで、これらは人間の形成に対して大きく影響を与えるとして重要視されていたのです。
 さらに、特に古代から中世のヨーロッパでは、血液は生命力の象徴であり、血液が病むと生命力が衰え病気になると考えられていました。そのため、病気になると “病気を持っている悪い血液”を排除することが必要だということで、「瀉血」(しゃけつ=治療のため、血液を一定量身体から抜くこと)がたびたび行われており、患者が気絶するまで血液を抜いてしまうほうが良いとされていたのです。
 このように古代から血液に対する信仰は深く、その上で1900年に生物学者のラントシュタイナーが血液型に4つの型があることを発見し、その4つの型と、古代ギリシャの「四気質論」が思弁的に対応付けされたというのです。つまり、血液型診断は、かつての「血液信仰」の遺産ともいえます。

 もちろん、その後も解釈の修正はたびたびなされていますが、基本的な部分は、実は古代の時代から変わっていません。
 逆に言えば人間の「性格」を診断することは、昔から人々の関心事であり、うまく生活の中に取り入れて、円滑に社会生活を送る仕組みの1つとして運用されてきたといえます。そういった背景が分かれば、私たちがどうして疑似科学たる「性格診断」に興味を持つのか、なんとなく分かってこないでしょうか。

 『性格のパワー』では、心理学の膨大な研究データから現代の性格診断をめぐる状況を明らかにします。例えば「親の養育態度は子どもの性格形成にほぼ無関係」であったり、「協調性は職業上の成功にとってマイナス要因」であったりと、これまで当たり前と思ってきた価値観が、心理学の研究から大きく覆っています。
 「人間の性格」、その奥は、とても深いものです。
(新刊JP編集部/金井元貴)



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