福島からツイッターにぶつけ続けた詩人の叫びが一冊の本に

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 3・11大地震の後、とある一人の詩人が注目を浴びた。
 その詩人は、Twitter上で叫び続けていた。
 ひたすら、福島市から、言葉を、叫び続けていた。

 その詩人の名は「和合亮一」という。
 1968年、福島県生まれ。1999年、第一詩集『AFTER』(思潮社/刊)で中原中也賞を受賞。詩の大家である谷川俊太郎氏との共著となる『にほんごの話』(青土社/刊)も出版している。

 和合氏は3月16日、避難先から自宅に戻ると、堰を切ったように、Twitter上に言葉を流し出した。それは、つぶやきではなく、叫びだ。

「放射能が降っています。静かな静かな夜です。」(2011年3月16日4:35)
「花も葉もなくなってしまった。鉢をベランダに片付けたら、今まで有った存在が消えてしまった。いつもあったものが、無くなってしまった。いつもあると信じていた。信じることしか、しなかった。存在は消えても、存在感だけは、消えない。」(2011年3月17日22:45)
「誰もいない 福島 静かな雨の夜 静かなやさしさは 私たちの心にある 冷たい風が 公園のブランコを かすかに動かして 競争するようにして錆びた ブランコを漕ぐ」(2011年3月21日20:37)


 『詩の礫(つぶて)』と名づけられた和合氏の叫びに呼応するように、5月26日までに1万4000人がフォローをしたという。
 そして、この叫びをまとめた『詩の礫』が徳間書店から一冊の本となって出版されたのだ。

 和合氏はこの詩を書き始めたときの心境を次のように語っている。

ラジオからは、新潟や山形へと避難する人々へ、慌てないで下さいという呼びかけ。アナウンサーも時々、涙声になる。人は減っていく。放射能の恐怖。食料・水・ガソリンは手に入る見込みがない。気力が失われた時、詩を書く欲望だけが浮かんだ。・・・書くということにだけ、没頭したい。死と滅亡が傍らにある時を、言葉に残したい。(p5より)

 震災の直後、詩人は、自分の気持ちを詩として表現することを欲した。そして、その言葉に多くの人々が反応した。
 かつて、原子爆弾を投下された広島・長崎を、様々な作家が文学のテーマとして扱い、「原爆文学」として今もなお読み継がれているように、この3・11の大震災も、文学の中で読み継がれていくのかも知れない。
(新刊JP編集部/金井元貴)



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