感性と向き合うツール『OmmWriter』

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OmmWriter Dana II(以下OmmWriter)

それは“シンプル”かつ“スマート”なテキストエディター。ビジネスライクな高性能エディターとは対極ながら、ユーザーの“感性を支援する仕掛け”を備えた、著者が知る限り唯一無二のツールである。

既に多くのMacユーザーに認知されているツールながら、Windowsユーザーの認知度はまだまだ低いのが現状。今回は『OmmWriter』を知らない人のために、その魅力をお伝えしよう。

ストイックなまでの仕様

『OmmWriter』は文字装飾や段組みの融通は利かず、テンプレート利用や作成は不可、画像挿入は勿論、ページという概念すらない。当然、一般的なビジネス用途ではまるで使えない。

では何故そんな質素な『OmmWriter』が多くの人に支持されているのか?

その理由は“ただ書く“という行為に特化した潔いスタイルにある。煩わしい書式設定から解放され、ただただ“キーを打ち進める“というシンプルな行為に没頭できる。思考の邪魔になるものは極力排除していく。それが『OmmWriter』の基本理念のようだ。

没入感いざなう仕掛け

感性を必要とする創作物を書く際、精神的なコンディションが重要であるのは言うまでもない。外界からの意識干渉を調節するため、例えば人は窓や部屋の戸を閉めたり、コーヒーを飲んだり音楽を聴いたりする。集中のために完全なる静寂を望む人もいるが、リラックスのため、インスピレーションのため、多くの人は無意識に何かしらの助けを欲してしまう。

『OmmWriter』は、その欲求に応える“幾つかの仕掛け”を搭載している。気分によってBGMを選び流せたり、画面背景を変更したりと、テキストエディターには珍しい、視聴覚的な自由度を備えている所が大きな特徴である(自前のBGMや背景の使用は不可)。有りそうで今までなかったシンプルな仕掛け。いや、存在したのかもしれないが、人々の記憶に残っていないのは『OmmWriter』程のクオリティが実現できてなかったということだろう。

『OmmWriter』の緩やかでミニマムなBGMはまるで空気のようであり、執筆の妨げになることなくループする。選べる曲はどれも秀逸で、精神安定の効果やイマジネーションをブーストする役目を巧く果たしている。背景も万人に優しい淡い色調のものばかり。BGMと視聴覚リンクし、ユーザーは日常とは別の世界に心地よくいざなわれる。特にプライベートな日記や、詩や歌詞、創作物の原稿作成には比類無き相性と没入感が得られる。

OmmWriter Dana IIレビュー

ここでは『OmmWriter Dana II For Mac』の使用感を掲載する。

『OmmWriter』を起動させると、ヘッドホン使用を推奨される。無論、なくても問題はないが、ヘッドホン装着時に『OmmWriter』は最大限の力を発揮する。

シンプルな全画面レイアウト。様々な同時タスクを視界から消し、執筆だけに集中することができる。これにより有りがちな“ネット逃避”もある程度抑制できるだろう。

テキストエリアのレイヤーは伸縮や移動が可能(ただし右部は拡張限界有り)。設定アイコンはレイヤー右上に追従。レイヤー下部には文字カウンターを備える。

レイヤーの枠線と右部バーは、無作業状態が4秒程続くと消える。

『OmmWriter』にはページやセクションの概念がない。例えるなら、1枚の紙に文字を綴っていくイメージと言えばいいだろうか。文字数が多くなるとレイヤー枠内でスクロールする。この段階で画面右部のバーが機能する。

複数の書類を同時に開くことができないため、新規作成時や別書類を開くには作業中のものを一度保存する必要がある。“目の前の書類のみに集中させる”ための意図的な仕様ということだろう。

シンプルな設定項目

設定アイコンから、4種類のフォントとフォントサイズ、8種類の背景、7種類のBGM、7種類のキータイプ音からカスタマイズが可能。

フォントやフォントサイズは“常に全文に適用”される(ボールドやイタリック等の装飾手段は存在しない)。また一部のキータイプ音は非常にミニマムなため、BGMに隠れ聞き取ることができない事がある。その際はBGMとの組み合わせを考えたり、BGMをオフにする必要も。書類の保存/書き出しは独自ファイル(.omm)の他、TXT/PDF/RTFが使える。

選べる背景

選べる背景は8種類。雪原の風景、質感を感じるものや、淡いグラデーションなど様々。背景を変えるだけで、気分が一新することにあらためて驚く。

システムメニュー

普段は隠れているメニューは、マウスポインタを画面上部に動かすことで現れる。コピペ等の基本動作の他、変更したレイヤーサイズをリセットできる。

また英文限定ではあるが、さらに検索&置き換え、大文字小文字変換、頭文字だけ大文字に変換、スペル&文法チェックと自動修正、テキストの読み上げ等、実用性のある機能を備えている。

OmmWriter for iPadレビュー

ユーザー待望のiPad版がついに発売した。シンプルな『OmmWriter』がiPadと相性悪いわけはない! と思っている人も多いことだろう(著者もその1人)。さてさてiPad版の使い心地は如何に。

Mac&PC版と大きく違うのは、レイヤーの概念がないことだ。また一見同じように見える雪原背景も、なんと雪がアニメーションしている! 他の背景もグラデーションパターンに変化が加えられているようだ。またBGMにも微小な修正が加えてあったりと、地味ながら進化を感じる。これらを大幅変更しないあたり、現行版『OmmWriter』の完成度が伺える。

画面下部の文字カウンターをタップすることで現れる、独自のソフトウェアキーボード。キータイプはQWERTYとAZERTYから選択できる。

iPad版は縦横の画面表示が可能だが、ソフトウェアキーボードの使用は横画面時に限られる。

残念ながら、現時点では日本語フォントに対応していないため、入力は半角英数のみ。ただし、外部キーボードでの日本語入力は対応しているようだ。また当然ながら、iPad内でのコピペが利用可能。

ソフトウェアキーボードの位置は、画面下部から最大で上記画像の位置まで調節ができる。

ソフトウェアキーボード左下の工具アイコンから、設定アイコンを表示。Mac&PC版とほぼ同じ設定が可能(背景はホワイトがなくなり7種類になっている)。加えてiPad版には明度調節のアイコンがある。アイコン列の下からキーボードタイプの変更もできる。

iPad版独自の保存ファイル管理画面。作成ファイルがリストに並ぶ。ファイルはTXT。

該当ファイルを選び、読み込んだり、リネームやコピー、メール添付ができる。

現時点で画面から日本語が打てないiPad版は、愛用者として残念な出来という他ない。iPadは『OmmWriter』の性質に極めてマッチしたデバイス。その使い勝手を思うと、早急な対応を切に願ってしまう。日本語フォントが使えるようになれば、『OmmWriter for iPad』の価値は語るまでもないだろう。

言葉を紡ぐきっかけに

『OmmWriter』は、言葉を紡ぐ数多のユーザーを支援する、貴重で実用的なツールである。シンプルなBGMや壁紙に同調することで生まれ広がる、創作やアイデアの閃きには中毒性すらある。

しかし、元々『OmmWriter』は日本語環境を基準に作られてはいないため、英語版アプリに拒否反応を感じてしまう人であれば、iPad版は勿論、Mac&PC版の利用にも不安を感じてしまうかもしれない。

だが一度Mac&PC版を使ってしまえば、そんな不安は簡単に払拭できるだろう。通常版(Dāna II)の他、バージョンの若い無料版(Dāna I)も公開されているので、まずはそれを体験してみてはいかがだろうか。きっと貴方も、心に秘めていた“何か”を書かずにいられなくなるはずだ。

『OmmWriter』(Herraiz Soto & Co.)

 ⇒ http://www.ommwriter.com/


 ※価格は2011年6月時点

余談であるが、著者は随分昔に似た感覚を持つメーラーを使用していた。EUDORAベースのMacintosh用メーラーで、クニリサーチインターナショナルという会社から発売された、Eudora ARTシリーズの”Image”という名称だったと思う。本家EUDORAと比べ、使い勝手はイマイチだった記憶があるが、強烈な個性とインパクトを『OmmWriter』の記事を書きながら思い出すことができた。

※この記事はウェブライターの「ねざお」さんが執筆しました。
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