私は頑健である。50歳を過ぎた今でも、入院はおろか骨を折ったことも疵を縫ったこともない。3日以上寝込んだことも歯医者以外に継続して医者通いをしたこともない。だから病人の気持ちがよくわからない。
 しかし大野更紗の文章は違った。苦しいを想像することは出来ないが、困っていることは容易に理解できる。生きていくことは困ったことを解決していくことだからだ。
 タイトルはそのまま『困ってるひと』。福島の田舎からフランスに憧れ、上智大学に入学したのはいいけれど、ビルマ問題に肩入れしてしまい「ビルマ女子」と名づけられた更紗さんが、ある日病気に罹る。それも日本で唯一の名医でさえ診断に迷うような難病だ。彼女が「オアシス」と呼ぶ病院に入院し、どうにか命を保った9ヶ月の歴史が本書である。
 更紗さんはいつも困っていた。でも、それを解決に導くエネルギーと反骨心があった。とにかく病気はお金が必要だ。この本がいっぱい売れて心に余裕が出来て欲しい。
 まずは、書店で「はじめに」を読んでください。

(東えりか)







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