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こんにちは、咲村珠樹です。「ミリタリーへの招待」ではミリタリーに関して、このジャンルをあまりご存じない方に「ミリタリー」に関する基礎的な教養(?)をレクチャーしていくことになりました。

あくまでもミリタリー知識のない人や、初心者向けのものなので、本格的なミリタリーファンには物足りないかもしれません。その点はご容赦ください。まずは不定期掲載となりますので、よろしくお願いします。まず最初として、今回は軍艦の動力についてご紹介しましょう。
皆さんは原子力空母や原子力潜水艦が、実際には蒸気で動いている……と言ったら驚かれるでしょうか?

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横須賀を事実上の母港とする、アメリカ海軍第7艦隊所属の原子力空母「ジョージ・ワシントン(CVN-73)」。艦内には2基の原子炉が据え付けられています。

ディーゼルエンジンを使っている客船などの民間船舶と違い、軍艦、特にこのジョージ・ワシントンをはじめとする、中型以上の艦艇は「タービン機関」を動力として動いています。タービン機関というのは、ザックリ説明すると、燃焼ガスや蒸気等を羽根車(タービン)に当て、回転させることにより動力を得る……という機関を指します。ディーゼルエンジンなど、いわゆるピストンを使う一般的なエンジン(レシプロエンジン)に較べると熱効率がよく、大出力を得ることが容易なのが特徴です。そして、空母のような大型艦の場合、蒸気タービンを用いているのです。

蒸気タービンはタービン機関の中で最も早く実用化されたもので、特に船舶用として古くから使われてきました。もちろん、戦艦大和にも使われています。大和などに使われていたのは、重油ボイラーで発生させた水蒸気でタービンを回す……というもの。原子力空母や原子力潜水艦の場合、重油ボイラーの代わりに原子炉で水蒸気を発生させる訳です。原子炉の場合、燃料補給が数年〜数十年と長期にわたって不要となるので、作戦行動に支障が少なくなるというメリットがあるんですね。発生した蒸気は空母のカタパルトにも使っています(この水蒸気は放射能の含まれていないものです)し、原子炉には酸素を必要としないので、潜水艦の場合ずっと潜りっぱなし……ということも可能となります。

タービンというのは、発電所にも使われているシステムなので、もちろんスクリューを回す動力としてだけではなく、一緒に発電機も回しています。艦内の電力供給だけではなく、潜水艦では海水を電気分解し、艦内の酸素供給すら行えるので、ずっと補給なしで作戦行動がとれるのは、軍艦にとって大きなメリットでした。……もっとも、食料がないと乗員が死んじゃうし、弾薬や艦載機用の燃料は補給の必要がありますが……。

空母以外の大型艦、いわゆる「通常動力」と言われるものは、古くからの重油ボイラーを搭載した蒸気タービンを動力としています。

また、巡洋艦や駆逐艦などでは、現在はガスタービン機関が主流です。これはジェットエンジンを船舶用に改良したものが使われています。

もともとジェットエンジンはガスタービン機関の一形態で、発生した燃焼ガスをそのまま噴き出すことで推力を得ようというものを指します。戦争中に日本海軍でジェットエンジンが研究されていた際「タービン・ロケット」と呼んでいたのですが、これが一番特徴を言い表しているように思います。このジェットエンジンの燃焼ガスを最大限、スクリューを回すための回転運動に変換するよう改良されたものが、船舶用ガスタービン機関です。燃料も灯油と成分が似たジェット燃料ではなく、軽油を用いています。

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これはアメリカ第7艦隊に所属するアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦(イージス艦)のステザム(DDG-63・左)とラッセン(DDG-82・右)。姉妹艦で、双方ともゼネラル・エレクトリック(GE)製のLM2500というガスタービン機関を搭載しています。これは旅客機DC-10などが使っているジェットエンジン、CF6を改良して作られたもの。

日本の海上自衛隊でも、護衛艦の多くはガスタービン機関で動いています。

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左はむらさめ型護衛艦のはるさめ(DD-102)、右はたかなみ型護衛艦のたかなみ(DD-110)。ステザムなどに使われているLM2500(IHIがライセンス生産したもの)のほか、スペイSM1C(川崎重工でライセンス生産したもの)が搭載されています。これはイギリス版のF-4ファントムII戦闘機で使われていた、ロールスロイス(RR)製ジェットエンジン、スペイを改良したものです。

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こちらはしまゆき型練習艦のしらゆき(TV-3517。写真ははつゆき型護衛艦、DD-123時代のもの)。この艦には、アニメ『ストラトス・フォー』にも登場した超音速爆撃機、TSR-2などに使われていたジェットエンジン、ロールスロイス・オリンパスを改良したオリンパスTM3Bと、ターボプロップエンジンのロールスロイス・タインを改良したタインRM1C(両方とも川崎重工がライセンス生産したもの)が搭載されています。

これらガスタービン機関を搭載した艦艇ですが、高出力の反面、大量の空気が必要だったり、ガスタービン機関の排気は重油ボイラーやディーゼルエンジンに較べて高温なので、それを冷ますための装置などが必要になり、煙突(吸排気筒)が大きくなってしまう傾向にあります。艦橋と同じくらいの大きさになってしまうので、煙突周りが大きければ、その艦はガスタービン機関を搭載している……という目印にもなります。もし軍艦や護衛艦を見る機会があったなら、煙突周りの大きさに注目してみてください。

【文と写真:咲村 珠樹】
某ゲーム誌の編集を振り出しに、業界の片隅で活動する落ちこぼれライター。
人生のモットーは「息抜きの合間に人生」
そんな息抜きで得た、無駄に広範な趣味と知識が人生の重荷になってるかも!?
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