「もう○○はいらない!これからは○○だ!」と言いたがる前向きな人々

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自民党から民主党への政権交代が起こった2009年9月、多くの人が「何かが変わる!」「官僚主導から政治主導へ!」と熱狂していましたが、結局裏切られてしまいましたね。この手の「もう○○の時代は終わった。これからは○○の時代だ」というものはネットの世界でもよく発生することです。いくつか過去の例を見てみましょう。

もうPCはいらない!?PS3の動画編集を試す-ASCII.jp(2010年7月20日)

http://ascii.jp/elem/000/000/538/538138/

FacebookがGoogleを廃業に追い込む理由-TechCrunch JAPAN(2011年6月4日)

http://jp.techcrunch.com/archives/20110603facebook-google-out-of-business/

SEOの終わりとソーシャルとnanapiのコンテンツの未来-ロケスタ社長日記(2011年6月5日)

http://blog.livedoor.jp/kensuu/archives/51889800.html

iPad以後、わずか数年で世界はiPadとiPad的なもので埋め尽くされるだろう。もう折り畳みのコンピューターはいらない。グッバイ・コンピューターそれがiPadの次に開かれた世界だ-Keep Crazy;shi3zの日記(2010年4月8日)

http://d.hatena.ne.jp/shi3z/20100408/1270686618

『ネットがあれば履歴書はいらない-ウェブ時代のセルフブランディング術』-宝島新書(2010年1月9日発売)佐々木俊尚著

【もうブログもメールもいらない】ツイッター140文字が世界を変える-読書I/O日記(2009年11月29日)

http://io-diary.com/mt/2009/11/twitter-140.php

Googleの次は?次世代検索ソーシャルQ&Aが流行の兆し-パパパパ(2011年1月24日)

http://d.hatena.ne.jp/hajimeataka/20110124/1295868139

孫正義「今はパソコンは使っておりません。iPhoneとiPadだけで99.9%の仕事をこなせます」-のーとりあす(2010年9月1日)

http://notorious2.blog121.fc2.com/blog-entry-1726.html

facebookがあれば、ブログとかいらないかも!?-イマクリワークス〜想像を創造に〜(2010年5月26日)

http://ameblo.jp/ari-miya/entry-10545363124.html

これらの文章のはとにかく威勢が良く、「新しい時代の到来だ!」というワクワク感に溢れています。そして、筆者が自身の体験から「もう○○の時代は終わるんだ!」と興奮ないしは「もう○○の時代ではないんだ……」という多少の感慨にふけるのが特徴です。

こうやって「○○は終わった!」「○○はいらない!」と言い切れる著者には敬意をもちろん払います。ただ、問題なのはこれらの文章を読む人が実感を伴わないくせに、文章だけ読んで感銘を受け、「プチ論者」になって上記のような論調を吐きまくること。それを押しつけられると、けっこう面倒くさいこともあるのですね。

「もうプレゼンはiPadでやることにしましたので、スクリーンは使いません。ハードコピーも持ってきておりません」と言い、企画の説明を始めた若い男。我々は遠目でiPadの画面を見ては「ちょっと見せてください。そこ何て書いてるんですか?」なんてiPadをこちらに持ってきてもらい、「あぁ、なるほど、そういうことだったんですね」が繰り返され、会議がズタズタに切れまくった経験があります。

あとは「もう検索の時代は終わりです。これからはより、信頼性の高いソーシャルの時代ですので、とにかくツイッター・フェイスブックユーザーに直接働きかける施策が必要です!」なんて意見を会議で聞いたこともあります。で、「どうやって働きかけるのですか?」と聞いたら「まずはIDを作りましょう」と言われてずっこけたことも。そりゃそうだけどさ……。

ただ、言っている間、彼らは高揚しているんだろうな〜ということは分かります。何せほかの人があまりよく知らない分野のことを横文字使って「ソーシャル時代にはソーシャルグラフがナントカカントカでクラウドソーシングでナントカカントカですから」って言った瞬間、目の前にいるオッサンが「ハッ」と焦った顔をするわけですから「オレ、先端男。チョーかっこいいぜ!」なんてちょっとした優越感も味わえるのですね。

で、オッサンは「この若僧、何言ってるんだ?オレ、よう分からんけど、なんか次の時代が来ちまったんだなぁ。はぁぁ、ファックスを送るだけでヒーロー扱いされた時代が懐かしいよ……」なんて思っては部下に「さっきのソーシャルグラフがナンタラカンタラ、進めておくように」なんて言うのでしょう。

●もうマスコミはいらない!これからはUstream中継の時代だ!

かくして業界のあちらこちらで同じような光景が繰り返され、各企業が同じようなネット関連の企画をボコボコとやるようになるのです。さしずめ2010年の場合は「もうマスコミの取材はいらない!」と喧伝されたUstreamですね。でも、企業絡みのものには「視聴者数16」みたいなお寒い企画も多かったですね。

今はさすがに「Ustreamとツイッターでブロガー懇親会を中継しましょう!」なんてお気楽企画を提案する方はいなくなりましたが、元々は「ソーシャルに直接働きかけるにはUstreamとツイッターがあれば良いです。マスコミよりも一般ネットユーザーの方がフェアです!拡散してくれます!」という売り込みを信用し、2010年は猫も杓子もUstream中継をやっていた時代が懐かしく思えます。

あとは、OA化(懐かしい!)が進めば「ペーパーレスの時代が来ます!」みたいな話が90年代にはありましたが、結局2010年代、プレゼンだってカラーコピーをバンバン使った紙でやっていますし、スクリーンでプレゼンをしたとしても、「ハードコピーも後の確認用に持ってきました」ってやっている。しかも、クライアントに配慮して部数を多く刷るものだからペーパーレスの時代なんてなかなか到来しないのですね。

さて、普段は「もう○○はいらない!」とは言わない私ですが、ちょっといくつか本気で思えるものがあるので書かせてください!別にほかの人に広げないでいいですから。あくまでも私の実感です!高揚感を味わいたいです!

【もう携帯の留守番電話はいらない!】

この7年間、携帯電話の留守番電話は解約しているが、一つも困ったことはない。留守番電話に吹き込むことにより「仕事の主導権はお前に移った。はい、あとは頼むね」とこちらが了解したと勝手に考える人が多いのがウザかったので解約したのだが、それ以来不自由が一つもないのだ。電話に出られなくても着信履歴が残っていればかけ直せばいいだけの話だし、相手から「留守電に入れましたよね」とブスッと言われることもなくなるし、豚がアクビをしたような声で、「あのぉぉ、電話ください」と分かり切ったことだけ言われることもない(留守電に入れるなら用件も入れとけ!)ので、いいことだらけである。

【もう昼ごはんはいらない!】

この10年、昼ごはんを食べていない。10年間一度も健康診断をしたことはないのだが、なぜか病気をしない。風邪はこの5年で一度しかひいていない。37歳になったものの、体重は変わっていない。昼は労働者にとっては忙しい時間なので、昼ごはんを食べないでも大丈夫な体になったのはなかなか快適である。(※ただし、朝ご飯はちゃんと食べる・上記写真参照)

【もうゴマすり器はいらない!】

昔、炒りゴマを入れてハンドルみたいなものを回転させてすりゴマを作る道具を使っていた。時々ラーメン屋なんかにあるアレのことね。でも、今はセブン-イレブンでプライベートブランドのすりゴマを安く簡単に買えるのでもうこの道具はいりません!

文/中川淳一郎(ネットニュース編集者)




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