広東省にはプラスチック製使い捨てランチボックスを製造するメーカーの多くが廃プラスチックを材料に使っているほか、中には蛍光増白剤を使っているメーカーもあることが分かった。これらの「有毒ランチボックス」の多くは、広東省の珠江デルタ地域の各地に出荷され、レストランなどで利用されている。中国新聞社が報じた。

 使い捨てランチボックスの材料に廃プラスチックを使えば、原料1トンにつき5千元の経費節約になる。このため、新しいプラスチックを100%使用しているメーカーはごくわずかで、材料の7割が廃プラスチック材料というのが現状だ。これらの廃プラスチックは、もとはプラスチックケースや光ディスクだったものが多く、工業用プラスチック廃材の場合もある。

 使い捨てランチボックスの材料となるプラスチックのうち、半透明の白色プラスチック粒子は、初めて使われるポリスチロール粒子で、約10%の割合で含まれている。黒や灰色のプラスチック粒子は再利用されたポリスチロール粒子で、約90%を占める。ポリスチロールは分解しづらく、環境汚染につながる。

 中国は、食品や食品関連製品の加工に蛍光増白剤を使用することを厳しく禁じている。蛍光増白剤が人の体内に吸収されると、細胞のタンパク質が破壊され、発ガン要因のひとつとなる。また、この薬剤は、傷口の癒着能力を損なう作用もある。

 また、国家関連規定では、食品レベルPET(ポリエチレンテレフタレート。プラスチック製品に最も多用されている)容器は、新しい原料で製造しなければならないと定められている。

 国際食品包装協会の董金獅秘書長はこれについて、「たとえ新しいプラスチックで生産された使い捨て容器にも、安全上の問題が潜んでいる。使い捨てプラスチック容器は、100℃以上に加熱されると変形し、過熱時に重合していない状態の「単体」でスチロールが人体に入った場合、中毒の原因となり得る。また、プラスチック自体も溶けて人体に入ると、分解されず、健康に被害を及ぼす恐れがある」と指摘した。

 中国国内では最近、食の安全を脅かす事件が頻発しているが、問題発覚後、やっと消費者が意識を向けるというのが毎回のパターンで、後手に回っていると指摘するメディアがある。食の安全監督管理分野での政策の立ち遅れは、もはや「管理者不在」の段階にまで行きついている。監督管理部門がメーカーに対して管理監督を実施することは、「できるかできないか」の問題ではなく、単に「やる意思があるのかないのか」の問題といえそうだ。(編集担当:松本夏穂)



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