【児童虐待】 ひとりでも多くの子どもを救いだすために

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 子どもが犠牲となった痛ましい事件がつづいている。5月中旬からの2週間を振りかえっただけでも、以下のような事件があきらかになっている。

 5月16日には、大阪市住之江区で暮らす両親(父親21歳、母親34歳)が、生まれたばかりの子どもに繰りかえし暴力をふるっていた疑いで逮捕された。重体の状態で病院に運ばれた子どもは死亡。両親は、容疑を否認している。同日付の朝日新聞によると、父親は母親に対して、「『子どもがこんなにうざいとは思わなかった』『俺より子どもの方が大事なのか』といった内容のメール」を送っていたという。

 また、同月23日には、岡山市北区に住む母親(37歳)が、16歳の娘を裸にして手足をしばり、風呂場に放置。その後、娘は低体温症で死亡した。警察は、監禁致死の容疑で母親を逮捕した。娘の衰弱に気づいた母親は、110番通報した際に「しつけをするために縛って立たせた」と説明していた。

 さらに、奈良県三郷町で暮らす母親(41歳)が、9歳の長女を包丁で刺し殺した疑いで、同月26日に逮捕された。県警西和署によると、「長女の体には十数カ所の刺し傷があり、母親は現場に座り込んで泣いており、『自分も死にたい』などと叫んでいた」(同日付、時事通信)。

 厚生労働省によると、「平成21年度に全国の児童相談所で対応した児童虐待相談対応件数」は44,210件にのぼる。そして、平成20年4月1日から平成21年3月31日までのあいだに「発生または明らかになった死亡事例は心中以外が64例、67人」、「死亡した子ども(心中以外)の年齢別では、0歳児が39人(59.1%)と最も多く、うち0か月児が26人(0か月児の66.7%)」と同省は報告している(以上、同省の平成22年7月28日付プレスリリースによる)。

 くわえて、同省は、「子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について(第6次報告)」で、加害者は実母であることが多いことや、「虐待により子どもが死亡する事例において、一人親世帯の占める割合は高い」こと、「主な虐待の種類をみると、身体的虐待が約8割、ネグレクト(筆者注:育児放棄)が約2割」であることなどを報告した。

 児童への虐待については、「親権」の壁が厚く、また「虐待」と「しつけ」の境界がわかりにくいことから、近隣の住民や児童相談所など、外部から干渉することが困難な状況がつづいていた。そんな状況を打開するため、5月27日に親権制度を見直す改正民法が成立。子どもを虐待する父母の親権を最長で2年間、停止できる制度が新設された。

 同制度の導入により、虐待されている子ども自身が、親権停止を申し立てることができるようになったことは歓迎したい。虐待は、いつも密室でおこなわれるからだ。もちろん、幼い子どもには申し立てなどできないが、すくなくとも親に虐待されている「物心のついた子ども」にとっては、緊急避難の効果をあらわすことになろう。

 だが、制度を作っても啓発をしなければ、「仏作って魂入れず」になってしまう。同省は、保育園や幼稚園をはじめ、小学・中学・高校において、同制度の積極的な啓発をおこなうべきである。いま、この時点で、親に虐待されている子どもが存在する。そんな子どもを、ひとりでも多く救いだすために。

(谷川 茂)



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