残念なジュビロサポーターの横断幕
■ ゴトビ監督に対する
5月28日に日本平で行われた静岡ダービーで、ジュビロ磐田のサポーター(※ そういった人をサポーターとよんでいいのかは疑問であるが・・・。)が、キックオフ前に、「ゴトビへ 核兵器 つくるのやめろ」という横断幕を掲げたことが問題になっている。
今シーズンから、清水エスパルスを率いるゴトビ監督は、Wikipediaによると、
・1964年2月8日にテヘランで生まれる。
・13歳の時、イラン革命が起こり、父親とともにアメリカ合衆国に亡命。
・イランに残してきてしまった母親とは生き別れ状態となる。
・2007年にテヘランのクラブ(=ビルズィテヘラン)の監督に就任するまで、イランへの入国を拒否される。
・ビルズィテヘランの監督に就任し、消息不明だった母親と27年ぶりに再会を果たす。
・2009年にイラン代表の監督に就任。アジアカップ2011でベスト8。
とのことで、非常に複雑な人生を歩んでいる。そういう人に対して、こういった的外れな横断幕を掲げてしまう神経は理解しにくいことであり、問題視されても仕方がない。仮に、「野次」であっても、こういった内容は慎むべきであるが、横断幕として掲げたというのは、手も込んでいて「悪質」である。
■ トラブルが続出
Jリーグは、ここ数年、観客動員の横ばい状態が続いており、新規のサポーターを呼び込む努力をしているが、今年は、この件のほかにも、ACLに出場したクラブが韓国のスタジアムで禁止されている発煙筒を使って罰金を科せられたり、FWハーフナー・マイク選手への人種差別的な野次が飛んだりと、開幕してから数か月しか経っていないが、トラブルが続いている。
日本のスタジアムは、ヨーロッパや南米のスタジアムと比べるとはるかに安全であり、普段は危険を感じることはないが、こういったことがあると、「サッカー場は危険」、「子供は連れていけない。」という誤った認識をされてしまう。
特に、日本の場合、こういう騒動が起こると、「ジュビロ磐田のサポーターが・・・」という話ではなく、「Jリーグのサポーターが・・・」、「サッカーファンが・・・」と話が広がって報道されていく。そのため、ごく一部のサポーターの行動は、ジュビロ磐田だけでなく、他のJリーグのクラブのイメージダウンにもつながってしまう。
あまり深く考えずに起こした行動が、各方面に多大な迷惑をかけたことを深く反省してもらいたいところで、クラブやJリーグには、厳重な処分を望みたい。
■ マリノスの横断幕
さて、今回の横断幕は、「人種差別」という話にもつながる大きな問題で「論外」といえるが、もっと軽い気持ちで、相手チームや相手の選手を揶揄した「横断幕」や「チャント」は、Jリーグでも、海外リーグでも少なくはない。
「リーグを盛り上げるためには、プロレス的な面白さは絶対に必要。」と当事者は語るが、よほどクレバーな人が考えた「横断幕」や「チャント」でない限り、「面白さ」というものは生まれて来ず、単に、「不快感」や「怒り」を生むだけに終わっていることが多いように思う。そういったものはトラブルのもとになるだけでなく、第3者的に見ると、関わっている人が「男」を下げているだけの行動に思えてしまう。
同じ日に、被災地の仙台で試合を行った横浜FMのサポーターは 「支援も試合も全力で それが横浜」 という横断幕を掲げて、仙台の人々にエールを送ったという。同じ横断幕でも、180°異なるものであり、マリノスのサポーターの「粋」なところが感じられる。
同じだけ労力をかけて横断幕を作るのであれば、相手を下げることでさも自分が上に立ったかのような「次元の低い内容」のものでなく、味方にも、相手にも敬意を払った上で、かつユーモアも感じられる「高貴な内容」のものを望みたいところである。
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・13歳の時、イラン革命が起こり、父親とともにアメリカ合衆国に亡命。
・イランに残してきてしまった母親とは生き別れ状態となる。
・2007年にテヘランのクラブ(=ビルズィテヘラン)の監督に就任するまで、イランへの入国を拒否される。
・ビルズィテヘランの監督に就任し、消息不明だった母親と27年ぶりに再会を果たす。
・2009年にイラン代表の監督に就任。アジアカップ2011でベスト8。
■ トラブルが続出
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日本のスタジアムは、ヨーロッパや南米のスタジアムと比べるとはるかに安全であり、普段は危険を感じることはないが、こういったことがあると、「サッカー場は危険」、「子供は連れていけない。」という誤った認識をされてしまう。
特に、日本の場合、こういう騒動が起こると、「ジュビロ磐田のサポーターが・・・」という話ではなく、「Jリーグのサポーターが・・・」、「サッカーファンが・・・」と話が広がって報道されていく。そのため、ごく一部のサポーターの行動は、ジュビロ磐田だけでなく、他のJリーグのクラブのイメージダウンにもつながってしまう。
あまり深く考えずに起こした行動が、各方面に多大な迷惑をかけたことを深く反省してもらいたいところで、クラブやJリーグには、厳重な処分を望みたい。
■ マリノスの横断幕
さて、今回の横断幕は、「人種差別」という話にもつながる大きな問題で「論外」といえるが、もっと軽い気持ちで、相手チームや相手の選手を揶揄した「横断幕」や「チャント」は、Jリーグでも、海外リーグでも少なくはない。
「リーグを盛り上げるためには、プロレス的な面白さは絶対に必要。」と当事者は語るが、よほどクレバーな人が考えた「横断幕」や「チャント」でない限り、「面白さ」というものは生まれて来ず、単に、「不快感」や「怒り」を生むだけに終わっていることが多いように思う。そういったものはトラブルのもとになるだけでなく、第3者的に見ると、関わっている人が「男」を下げているだけの行動に思えてしまう。
同じ日に、被災地の仙台で試合を行った横浜FMのサポーターは 「支援も試合も全力で それが横浜」 という横断幕を掲げて、仙台の人々にエールを送ったという。同じ横断幕でも、180°異なるものであり、マリノスのサポーターの「粋」なところが感じられる。
同じだけ労力をかけて横断幕を作るのであれば、相手を下げることでさも自分が上に立ったかのような「次元の低い内容」のものでなく、味方にも、相手にも敬意を払った上で、かつユーモアも感じられる「高貴な内容」のものを望みたいところである。
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