【弁護士会VS行政書士】「慰謝料の請求=事件性アリ」なんでしょうか?

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※行政書士の柴田崇裕さんによる連載、第4回目です。

●連載第4回

 行政書士の立場でいうと事件性の無い離婚問題や不倫問題は普通にあります。

 離婚の場合でいうと、夫婦で慰謝料や養育費について合意可能で書面にするというケースもありますし、不倫の場合でいうと内容証明郵便で慰謝料を請求すると素直に支払いに応じてくるようなケースもそうです。

 ここで勘違いをしやすいのは

慰謝料の問題 = 事件性あり

 とはならないということです。

 慰謝料というのは法律上当然に発生するものです。少し意味が分かりづらいかもしれませんが、慰謝料というのは交渉の成果として発生するものではなくて、不法行為を受けた時点で法律上は既に発生しているということです。事件の相手方がその事実関係を争わないのであれば、事件性なんて発生するわけがありません。

 しかし、多くの弁護士は「慰謝料を請求するなんて事件性があるに決まってる!」と言って譲らないのです。

 繰り返しますが、慰謝料を請求するから、慰謝料が発生するわけではなく、慰謝料を請求する権利が発生しているから、慰謝料を請求できるわけでここには何の事件性もありません。

 内容証明郵便を送付した結果、相手方が慰謝料の支払いを拒否するなどすれば、事件性が発生したと言えるでしょう。

●行政書士の内容証明郵便の作成業務は非弁行為!?

 行政書士法には行政手続きができるということを定めた条文以外に“権利義務・事実証明”の書類作成についても定めています。

 内容証明郵便というのはまさに“権利義務・事実証明”の書類です。

 しかし、弁護士は「行政書士は内容証明郵便を作っちゃいかん!」と言うわけです。

 ですが、いくら弁護士でも法律に定められた行政書士業務を完全にしたらダメとは言いません。そこで言うことは……

「依頼者が言うことをそのまま書面にするなら作って良し! 行政書士の法的判断や助言は書面には一切反映させるな!」

 と言い出すのです。

 つまり、弁護士に言わせると行政書士は依頼者から言われたことをそのまま書面にする権限しか無いということなのです。

 なぜなら、離婚や不倫の問題というのは弁護士からしたら“100%事件性あり”となるわけですが、彼らが事件性があると判断した場合の行政書士の内容証明郵便作成業務では、行政書士が少しでも法律判断や助言を行うと「法律判断や助言は行政書士法には書いていない! だから非弁行為だ!」となるわけです。

 実際には事件性が無ければ行政書士法に法定されていない法律事務も行政書士は行えますし、行政書士法には作成する書類について、行政書士が相談対応できることも定められています。

 弁護士たちが根拠とするのは過去に司法書士が裁判所提出書類の作成業務で非弁行為とされた判例なんですが、裁判になっている問題は事件性があるに決まっています。

 しかし、この判例を元に事件性の判断基準だけを弁護士有利に解釈することで行政書士に
「依頼者に言われたこと以外は書面にするな!助言はするな!」
と言うわけです。

*事件性不要説を支持する弁護士の場合は、事件性があろうがなかろうが依頼者の言うとおりの書面を作らないといけないということを言います。

 僕は事件性がある(又はその可能性がある)と判断した場合は依頼を受けないようにしていましたが、実際には事件性があっても行政書士は書類作成の範囲では業務を行えるし、その作成する書類の範囲では相談対応もできると考えています。それでも依頼を受けないようにしていた理由は、弁護士たちから「非弁行為だ!」と言われる隙を少しでも無くしたかったからです。

●僕はこうして刑事告発された

 僕はここまで書いたとおり、離婚や不倫の問題だからといって事件性があるとは思っていません。

 慰謝料を請求したりする内容証明郵便の作成業務では依頼者の「慰謝料を受取りたい」という希望が叶えられるように文面もいろいろと工夫するようにしていました。

 弁護士たちからしたら、弁護士業務を守るという視点で見たらそれは非弁行為にしてしまいたいのでしょう。そして彼らはそれを“示談交渉”と言います。相手と直接会って交渉をしてなくても作られた書類が彼らから見て気にいらないと“示談交渉”と言いだすのです。

 こういう場合、普通弁護士会は個別の行政書士に対して、「非弁行為を止めろ」と警告をすることで自分たちの業務を守ろうとしています。

 明らかな非弁行為ではなく、解釈の違い(しかも一方的な)で弁護士から見たら非弁行為という例では普通は弁護士会も刑事告発なんて強硬的な手段はとりません。その代わりに人目につかない様に影で行政書士に“警告”という名の圧力を加える訳です。そして大多数の行政書士は泣き寝入りします。

 行政書士側が明らかな非弁行為をしているなど非がある場合もありますが、それは正当な業務を行う行政書士まで弾圧することの言い訳にはなりません。

 しかし、僕は個人の弁護士からの警告に反抗して、徹底的に争う姿勢を見せました。大阪弁護士会からしたら弁護士の警告に従わない行政書士は見せしめとして、つるしあげる必要があったということなんだと思います。

 そして、僕は大阪弁護士会から刑事告発され、記者会見まで開かれて全国的に“示談交渉をした行政書士”として報道されたのです。

 行政書士会や日本行政書士会連合会はこういった弁護士会の動きに対して抵抗しないのか疑問を持たれるかもしれませんが、行政書士会等の実態についてはまた次回……

(つづく)

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