生物多様性はどうして必要なのか?

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 1992年、ブラジルのリオ・デ・ジャネイロで開催された環境と開発に関する国際連合会議、いわゆる「リオ・サミット」で、当時12歳だった少女がとあるスピーチをしました。
 その少女の名前はセヴァン・スズキさん。
 世界の指導者たちの前で、カナダの環境グループを代表していった6分のスピーチは、大きな反響を呼びました。

 戦争や環境や生態系破壊、貧困問題、そして核の問題。地球上には人類自身が生み出した様々な「問題」が蔓延しています。セヴァン・スズキさんはスピーチでそうした問題に触れ、大人たちに強烈な批判を投げかけました。(この伝説のスピーチは『あなたが世界を変える日』というタイトルで絵本として学陽書房から出版されています)

 岩波書店から出版されている『生物多様性と私たち』(香坂玲/著)は、どうして生物多様性が大切なのか、そして私たちの生活がいかに生物多様性によって支えられているかを分かりやすく解説します。
 著者の香坂さんは、「人間にとって、なぜ生物多様性が必要なのか」について、生物そのものが外部の環境変化や病気に対処するために生物多様性が生まれ、そのネットワークがつくられてきたといえるといいます。そして、人間はそのネットワークの中で生かされている存在であり、これまではネットワークの一員として、生物多様性の世界を維持する活動を行ってきたと指摘します。

 しかし、今、人間はそのネットワークにさまざまな悪影響を及ぼすことをしています。
 そして、進化しながら循環してきた生物多様性のネットワークにほころびが見えはじめています。世界的に話題になったミツバチ集団失踪も、いまだに原因は不明ですが、その候補に農薬散布などがあげられています。

 今の子どもたちは、こうした様々な問題を解決していかなくてはいけません。しかし、彼らは結果的には問題を「押し付けられた」形になります。大人たちが議論し合い、どのように問題を解決するべきか、そして今からでもできることを素早くはじめること、それが次世代のためにできる大人たちの責任なのかも知れません。
 『生物多様性と私たち』ではCOP10(生物多様性条約第10回締約国会議)の議論や取り組みを通して、子どもたちが環境問題に取り組む姿勢がうかがえます。生物多様性を通して、人間の生活そのものを見直してみるのも、時には必要なのかも知れません。
(新刊JP編集部/金井元貴)


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