書籍『これからスマートフォンが起こすこと。』(東洋経済新報社)の著者・本田雅一さんは、同書がスマートフォンの現在について執筆したものであるにも関わらず、「今、"スマートフォンが普及しはじめている"と書くのは危険かもしれない」と考えているそうです。

 その理由は、本書が発売されて数年もすれば、そもそもスマートフォン以外の携帯電話が「絶滅している」可能性が高いからだとか。確かにiPhoneやアンドロイド携帯の普及速度は、いわゆる「ガラケー」を圧倒しそうな勢いです。しかしそれでも本当に、日本の携帯電話がスマートフォンだけになることはありえるのでしょうか。

 1996年、ビル・ゲイツはある講演で未来社会のビジョンについて、「指先に全ての情報を」と宣言しました。あらゆる情報がネットで結ばれ、サイフさえ持たずに指先ひとつで支払いができる。そして、その端末はポケットに入れて持ち運べるものが望ましい。ゲイツが描いた未来は、そのようなものでした。かつては夢でしかなかったこのビジョンは、スマートフォンによって遂に実現されたと考えられています。しかし実際は、そのほとんどは日本の「ガラケー」で達成されていたのです。

 本田さんによれば、スマートフォン以前から「サイフ代わりになり、身分証明になり、コンサートチケットとしても使え、テレビを見ることができ、駅に到着すると出口から目的地への案内をしてくれる携帯電話」など、日本以外にはありませんでした。それだけ「ガラケー」は優秀だったのです。しかし、それでも本田さんは「(日本の)携帯電話は絶滅するだろう」と言います。それはなぜか。

 本田さんはスマートフォンを、「携帯電話ではなく、パソコン」だと定義します。日頃のコミュニケーションをネット上で頻繁に行う若年層にとって必要なものは、ネットに常時接続できて、手軽に持ち運べる携帯端末。スマートフォントはまず、こうしたニーズを満たすものとしてあるのです。つまり、「携帯電話にパソコンの機能がある」のではなく、「パソコンに携帯電話の機能がある」のです。

 スカイプやGmailといったネット上のサービスは、そのほとんどが無料であるにも関わらず、利便性や安定性において、有料の携帯電話のサービスを凌いでいるものが少なくありません。そのため、年長世代よりもずっと「ネット漬け」な若年層が成長した日には、もはや「ガラケー」を使い続ける合理的な理由を見出せない――。そのときが、日本から「ガラケー」が消える日なのです。



『これからスマートフォンが起こすこと。』
 著者:本田 雅一
 出版社:東洋経済新報社
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