自分の子供に読ませたい本(1)
 世の中にはあんな本やこんな本、いろんな本がある。そのテーマも十人十色。「感動したい本が読みたい!」「思いっきり怖い本を味わいたい」と思っても、 どんな本を選べばいいのか分からない! とお悩みの方も多いはずでは?
 そんなときにあなたの味方になるのが書店員さんたちだ。本のソムリエ、コンシェルジュとしてあなたを本の世界に誘ってくれる書店員さんたち。
 そんな彼らに、テーマごとにお勧めしたい本を3冊答えてもらうのが、「わたしの3冊」だ。【「わたしの3冊」バックナンバーはこちらから】

 今回のテーマは『自分の子どもに読ませたい3冊 』!今回登場してくれたのは、紀伊國屋書店新宿本店ピクウィック・クラブさんです。

◆『ロマン<1>、<2>』

著者:ウラジーミル・ソローキン
出版社:国書刊行会
定価(税込み):2625円、(<2>は2520円)

 子供は大人に比べて感受性が強い。大人の視界にはまったく入ってこないものを見、聞こえない音を聞く。だから大人が読んだらごく当たり前の世界を書いていると思える本も、子供にとってはものすごく不可思議な世界だったりする。とすると、読後大人ですら呆然と立ちすくむような本を子供が読んだら、そこにどんな景色を見るんだろう、ということが気になってくる。

 じゃあ大人が呆然と立ちすくむような小説は何だろうと考えた時、真っ先に思い付くのはソローキンの作品だろう。短篇集『愛』もいいが、ここでは『ロマン』を推したい。上下巻なので手が出しにくい印象があるが、読み始めたらあっという間だ。下巻の終盤までロシアの田舎村で生きる人々の、恋あり笑いあり涙ありの牧歌的な生活がひたすら書かれる。しかしあるアイテムとある一文を挟んだ次の瞬間から風景は一変し、あとはひたすら…。最後は“読む”という行為を諦めざるを得ない状態にまで持っていかれ、文字の汚物に塗れたまま読書を終える羽目になる。

 もし子供たちがこんな小説を読んだら、読後の景色はどんな色に映るのだろうか。気になって仕方ない。だから読ませたい。


◆『マダム・エドワルダ/目玉の話』

著者:ジョルジュ・バタイユ
出版社:光文社
定価(税込み):440円

 子供なんてのは、まあ親から与えられた本なんてだいたい興味無いですよね。
 親の価値観なんて古くてダサいっていうか、教養なんてウザいっていうか、自分たちの世代の方がいけてるっていうか。
 なので、親としてはやっぱり子供にナメられないような本を与えたいところですよね。
 まあなんでもいいんですけど、とりあえずバタイユの「目玉の話」とかいいんじゃないでしょうか。
 これを読ませれば、子供も「なんだこいつ、マジ狂ってる」「マジぱねえ」と、今までナメてた親に一目置くようになることは請け合いですよね。
 内容的にも、まあざっくり言えば生命の偉大な力を礼讚してる話という気もしますし、念のため最初に「マネしちゃダメだぞ☆」みたいな感じで注意しておけば問題ないんじゃないですかね。
 いや本当に子供には、豊かな感受性と柔軟でしなやかな価値観、そして強い情熱を育んでほしいですよね。


◆『どんぐりと山猫』

著者:宮沢賢治
出版社:偕成社
定価(税込み):1470円

 未来の話になるけれど、僕は密かに子供と一番最初に読むのはこの絵本だと決めている。僕自身が小さい時に親に読んでもらった本であることと、今でも読み返しては思わず顔がにやけてしまうお気に入りの一冊だからである。「山猫のにゃあとした顔」だとか、馬車別当が鞭をしならせる「ひゅうぱち」という音など、賢治の優しい言葉は何度 読んでも飽きることはない。
 また、どんぐりの言い分などは現代社会にあてはめることができるかもしれない。自分勝手のご都合主義とはどんぐりの世界に限らずどこにでもあるものだ。でも、だからといってこの物語を一種の訓話にしてしまったらつまらない。子供には起こりえないことも起こるかもしれないという想像力を持ってほしい。一郎少年が葉書を初めてもらった時、嬉しくて嬉しくてたまらなかったように、最初の思い出とは忘れがたいもの。だから僕はこの一冊を薦めたいと思う。


◇   ◇   ◇

【今回の書店】
■紀伊國屋書店新宿本店


住所:東京都新宿区新宿3-17-7
TEL:03-3354-0131
FAX:03-3354-0275

■アクセス
JR新宿駅東口より徒歩3分、 地下鉄丸の内線・副都心線・都営新宿線「新宿三丁目」B7、B8出口より徒歩1分(地下道より直結)

■営業時間
10:00AM〜9:00PM

■ウェブサイト
http://www.kinokuniya.co.jp/

■フェア情報
紀伊國屋書店新宿本店2F催事場で文学フェア「文学博覧会 ぶんぱく’11」が開催中!
世界各国から集められた文学作品約600点に手書きPOPとキーワードをつけ、40のパビリオンに分けて展示! 見るだけでも楽しいフェアとなっています。
開催期間:4月1日(金)〜5月31日(火) 場所:紀伊國屋書店新宿本店2F催事場


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