憧れ、共感…。心に突き刺さる、女たちの名セリフ

夢のような甘い恋愛だけではなく、厳しい現実まで描ききるのが最近の女子マンガ。そこには、思わずドキッとする数々の名セリフが登場します。

女だからこそ深く共感できたり、生き方に憧れたり、ときには人生について考えさせられたり。そんな心に刺さる女たちの名セリフを、宝島社『このマンガがすごい!』編集部・薗部真一さんにピックアップしてもらいました。

いろいろ読んで、ぜひお気に入りの作品を見つけてください。

グッとくるセリフ6:『HER』CASE.3より



人類にあまねく降りかかる呪い…世界の決まり

<『HER』CASE.3 (C)ヤマシタトモコ/祥伝社フィールコミックス>

フツーでいようとする16歳の女子高生に、近所に住む白髪のレズビアンが告げたセリフ。「…5年後、16歳の自分が大切なものをドブに捨ててきたことに気付く」という言葉とともになげかけます。

「『このマンガがすごい! 2011』オンナ編の第1位の作品です。マンガ界にすごいことが起きているということが、本作のこの前後のくだりに象徴されています」(薗部さん)

写真HER』ヤマシタトモコ/祥伝社 680円

女たらしの男性客に思い渦巻く美容師、白髪のレズビアン、フツーじゃないことを恐れる女子高生、母の浮気がトラウマな地味めOL、女が嫌いな女…。オンナの本音を描き話題沸騰、全6編の連作オムニバス。描き下ろしBONUS TRACKも収録。


グッとくるセリフ7:『花のズボラ飯』2皿めより



今ならアタシ、ブタといわれてもいいっ
幸せなブタちゃんです!

<『花のズボラ飯』2皿め(C)久住昌之+水沢悦子/秋田書店>

「かわいい主人公の女の子が、タマゴごはんのあまりのうまさに、こんなひとり言をいっちゃうギャップ満載のグルメマンガ。こんな感じで奥さんが楽しく留守番していると思ったら、だんなさんも幸せなのではないでしょうか」(薗部さん)

女子にとって「ブタ」は禁句ワードのひとつ。けれど、本作の主人公・花にかかれば、こんな禁句ワードもたちまち愛らしいセリフに。幸せいっぱいの花の笑顔にほんわか癒されます。

写真『花のズボラ飯』久住昌之・水沢悦子/秋田書店 940円

夫が単身赴任中の主婦・駒沢花(30)。家中散らかし、自分のためだけにズボラなお料理を作っておいしく食べる様子を、かわいく、おかしく描いた話題作。



グッとくるセリフ8:『3月のライオン』5巻 chaoter51より



後悔なんかしないっっ しちゃダメだっ
だって、私のした事はぜったい、まちがってなんかない!!

<『3月のライオン』5巻 chaoter51「てんとう虫の木」(C)羽海野チカ/白泉社>

「いじめを止めたら、いじめられる側になってしまった少女・ひなは、『それでも自分が間違っていない』と泣きながら叫びます。彼女の強い意思の発露が、別のことで悩んでいたはずの主人公に救いを与える描写は秀逸です」(薗部さん)

ひなのまっすぐな強さにグッと引き込まれます。このことが、今後主人公にどう影響を与えていくのかも、気になるところです。

写真『3月のライオン』羽海野チカ/白泉社 1巻490円、2〜5巻各510円

17歳の将棋のプロ棋士・桐山零。幼い頃に事故で家族を失い、深い孤独を抱える彼が、あかり、ひなた、モモの3姉妹との触れ合いと通じて少しずつ変わっていく…。「第35回講談社漫画賞」「マンガ大賞2011大賞」受賞。



グッとくるセリフ9:『さよならもいわずに』より



「つらい時につぶやける名前があるのは素敵なこと」とキホは言った

<『さよならもいわずに』(C)上野顕太郎/エンターブレイン>

「『妻の死』という語りがたいことをギャグマンガ家である上野が描いた作品。自分が死んだあと、誰かに名前をつぶやいてもらえる。それだけで、『生きる』ということのかいがあるのだ、と思わせられます」(薗部さん)

けっして人事ではなく、誰にでも起こりうる最愛の人との別れ。重厚で、圧倒的な物語に、共感できる人も多いはずです。

写真『さよならもいわずに』上野顕太郎/エンターブレイン 819円

最愛の妻・キホを突然の病死によって失ったギャグマンガ家・上野。妻との最後の日々と、死後をつづったドキュメントマンガ。


グッとくるセリフ10:『風の谷のナウシカ』7巻より



絶望の時代に理想と使命感からお前がつくられたことは疑わない。
その人達はなぜ気づかなかったのだろう。清浄と汚濁こそ生命だということに

<『風の谷のナウシカ』宮崎駿/徳間書店 ワイド版全7巻 1〜6巻410円、7巻530円>

「映画『ナウシカ』の自然賛美の物語は、プロローグにすぎません。マンガ版のナウシカはその先、『文明が持つ毒性と美しさこそが人間の本質なのだ』という、今の私たちが直面する苦境に鋭く突き刺さる言葉を放つのです」(薗部さん)

映画で描かれているのは、2巻あたりまでの物語。今あえて読むべきマンガと言ってもよいでしょう。

【選者】『このマンガがすごい! 2011』宝島社
写真面白いマンガの年間ランキングガイドブック。書店員や大学のマンガ研究会、各界のマンガ好きの方々が選評しています。さらに、人気漫画家のコメントをはじめ、マンガ好き各界著名人によるおすすめ作品なども紹介。今読むべきマンガがわかります!




どうでしたか?今回紹介したセリフに「グッ」ときたら、きっとそのマンガを手にとって読んでみる価値アリです。その一冊のマンガの中に、あなたの人生を変えるひとことが見つけられるかもしれません。
※掲載したマンガ画像は全て許可を得たものです


■女子のためのマンガ特集 前編
夜景にネイル…至れり尽くせり!女子にやさしいマンガ喫茶へGO!