とり・みきの漫画「SF大将特別編 万物理論[完全版]」が5月23日から5月31日まで、河出書房新社のウェブサイトで無料公開されている。同作品が今年の星雲賞(第42回)参考候補作に選ばれたことを記念する特別企画。http://www.kawade.co.jp/nova3/

「SF大将特別編」は、もともと2009年7月に出た『SF本の雑誌』(本の雑誌社)に掲載された4ページの超短編。
 その後、2010年12月に、後編4ページを追加した全8ページの「SF大将特別編 万物理論[完全版]」として、大森望責任編集『NOVA3 書き下ろし日本SFコレクション』(河出文庫)に収録された。

 中身は、グレッグ・イーガンの名作SF『万物理論』を下敷きにしたSFマニア向けのパロディ漫画。SFの心得がない人には判じ物みたいに見えるかもしれないが、大森の解説もついているので、この機会に、ディープなSFの世界に触れてみてください。

 本家本元の『SF大将』は、SFマガジン連載の漫画(ハヤカワ文庫JA刊/書籍版は「大星雲ショー」「SF小僧」を併録)。「接続された女」から『ソングマスター』まで、海外SF30作をパロディ化してファンの喝采を浴び、第29回星雲賞コミック部門を受賞している。

 ちなみに星雲賞とは、毎年、日本SF大会の参加者がファン投票で選ぶ年間最優秀SF賞。現在は、小説、メディア、コミック、アート、ノンフィクションなど、全9部門ある。

「SF大将特別編 万物理論[完全版]」がノミネートされたコミック部門では、他に『鋼の錬金術師』、『惑星のさみだれ』、『夏のあらし!』、『兵器局非常識機材関連開発室ヴンダーカンマー』、『SARU』、『キック・アス』、『ベントラーベントラー』が参考候補作に選ばれている(日本SFファングループ連合会議加盟団体の投票により決定)。

 今年の星雲賞の投票期限は5月31日。今からでも、今年の第50回日本SF大会(ドンブラコンL)に参加申し込みをすれば投票資格がある。他部門の参考候補作および投票はこちらから。http://www.sf50.jp/award.html

 星雲賞のお手本となったヒューゴー賞(世界SF大会参加者の投票で決まるSF賞)では、ショート・ストーリー部門、ノヴェレット部門、ノヴェラ部門、コミック部門などにノミネートされた作品を版元や著者がネット上で無料公開し、投票権を持つ参加者に広く読んでもらう慣習があるが(今年の候補作はこちらからhttp://www.renovationsf.org/hugo-intro.php)、星雲賞の参考候補作を投票期間中に版元が無料公開するのは、おそらく今回が初めて。

(大森望)







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