テキスト系妄想メディア「ワラパッパ (WARAPAPPA )」より

あと2ヶ月ほどで地上およびBSのアナログ放送が終了する(岩手県、宮城県、福島県以外)。家のテレビは既に地デジに移行しているが、小さいアナログテレビは残してある。時々、思い出したように小さいアナログテレビの電源を入れて、もうすぐなくなるアナログ放送を感慨深く眺めたりしている。気持ちを込めてアナログ放送を見ていると、右上の「アナログ」の文字が泣いているように見えるから不思議だ。去り行く者の背中はいつだって悲しい。

もうすぐなくなる「アナログ」について、改めて調べてみた。
「アナログ」って実際、何?

そういう時はWikipediaを調べるのが早い。

「連続した量(例えば時間)を他の連続した量(例えば角度)で表示すること。」

まったく意味が分からない。

「デジタルが連続量をとびとびな値(離散的な数値)として表現(標本化・量子化)することと対比される。時計や温度計などがその例である。エレクトロニクスの場合、情報を電圧・電流などの物理量で表すのがアナログ、数値で表すのがデジタルである。」

全然分からない。
分からないから意味を理解するのは諦めた。

とにかくアナログ放送は今年の7月24日で終わってしまうのだ。寂しいじゃないか。

これまでの労をねぎらい、気持ちよく引退させてあげたい。

アナログ勇退の花道を演出するために、アナログなヘアスタイルを作っていく。





で、アナログなヘアスタイルって何だ?

という話になってくる。

アナログなヘアスタイルを実現するためにアナログについて理解を深めようと思ったのだが、うまくいかなかったことは冒頭に書いた通りだ。

「連続した量(例えば時間)を他の連続した量(例えば角度)で表示すること。」

何度読んでも分からない。

そこで注目したのが、アナログ放送時に右上に表示される「アナログ」の文字である。

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この独特な書体が持つ雰囲気をヘアスタイルに応用出来ないだろうか?

調べてみると、フォントワークス社の「スランプ」という書体がそれに近いことが分かった。スランプについてのフォントワークス社の説明を見ると、

「角が丸く、文字の下の方が太くなっているため《優しい雰囲気と同時に安定感》が感じられる書体です。」

とあった。
この《優しい雰囲気と同時に安定感》というキーワードはヒントになりそうだ。


キーワードを得たところで、早速美容院に向かった。

渋谷の円山町にある「ナートゥ」。ここにブラックヘアを得意とするゆかりさんというヘアメイクアーティストがいる。ゆかりさん、と友だちみたいな呼び方をしているが、それは名字を知らないからだ。名刺にも「YUKARI」としか書いていない。

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そんなゆかりさんには、以前にも何度か企画絡みでヘアスタイルを作ってもらったことがあって、その度に完璧な作品を仕上げてもらっている。ゆかりさんに《優しい雰囲気と同時に安定感》というキーワードを伝えれば、きっとアナログなヘアスタイルを実現してくれる。僕はゆかりさんの感性を信じている。

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ゆかりさんに「アナログ」の表示を拡大した資料を見せた。普通だったら好きなアーティストの写真などを見せて、これと同じにして下さいと頼んだりするのだろう。しかし、今回の資料は文字である。ゆかりさんはこの文字から何を感じ、どのようなスタイルを作っていくのだろうか?

アナログを前に、しばらく考え込むゆかりさん。

さすがに文字からイメージを広げるのは難しいようだ。

僕なりイメージしていたアナログヘアの条件に、まず「横分け」がある。どことなく昭和の匂いがするようなヘアスタイルである。
例えば、これ。

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仮面ライダーの精神的支柱、立花藤兵衛のヘアスタイルである。少しうねりのある髪を横分けにしたことでアナログ感を実現している。優しい雰囲気と同時に安定感も兼ね備えた、完璧なアナログヘアといえよう。

ゆかりさんも、きっと立花的なヘアスタイルを思い描いていることだろう。


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「オッケー、分かりました」

ゆかりさんはそう言うとバリカンを手にした。バリカンを使って《優しい雰囲気と同時に安定感》を表現するつもりなのだ。

ここからはゆかりさんの世界である。
僕が口をはさむ余地はない。僕のヘアーはこの瞬間から、アーティストYUKARIの物なのだ。


YUKARIのアナログはどんな顔をして僕の前に現れるのだろう?

期待に胸を膨らませて完成を待つ。


そして、1時間後。

「出来ました」

と、YUKARIが僕の背後で鏡を広げた。

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合わせ鏡越しに、YUKARIが作ったアナログを確認する。

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完璧な「アナログ」が僕の後頭部に描かれた。《優しい雰囲気と同時に安定感》もしっかりと表現されている。今日からYUKARIのことを「渋谷のシザーハンズ」と呼ぼうと思う。

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「不安もあったけど、出来上がってホッとしてるわ」

渋谷のシザーハンズが安堵の微笑みを浮かべた。

「生まれて初めてアナログを作って、とてもいい経験になったと思う。これからの人生、辛いことがあってもきっと乗り越えられる。マサノリ、ありがとう」

きっと、YUKARIは心の中でそうつぶやいていたことだろう。
アナログを通じてお互いを下の名前で呼び合う仲になった、気がする。

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その証拠に、YUKARIは完成した「アナログ」を何枚も写真に収めていた。YUKARIのアーティスト人生に大きな影響を与えることが出来て、嬉しく思っている。

そして、こんな素敵な機会を与えてくれた「アナログ」が7/24でなくなってしまうのだ。
今までありがとう、アナログ。

僕は君を忘れない。

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地デジの導入を本格的に検討するアナログ。

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3Dを体感して奥行きに感心するアナログ。

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iPhone4のホワイトモデルに思いを馳せるアナログ。


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最後に、「ア」の下に吹き出物を見つけたことをお伝えしておく。「アナログヘア」をやっていなかったら気づかなかった。それもこれも、すべてアナログのお陰である。

取材協力:naught
渋谷区円山町2-21-1F
TEL:03-3461-7883
http://www.blackhair-naught.com


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この記事の元ブログ: この夏流行る!最新アナログヘア


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