ウワサの“大相撲・技量検定場所”にいってみた

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5月10日14時に両国駅に着き、両国国技館に向かう。いつもなら立ちならんでいるはずの“のぼり”がない。入り口には“五月技量審査場所”の看板が控えめに置かれている。さて、審査するのは、力士の技量なのか、日本相撲協会(以下、協会)の技量なのか。


国技館に入ると、正面ロビー奥にはトロフィーを置くショーケースがあり、通常であれば“優勝賜杯”をはじめ、外部団体・企業からの優勝力士に贈られるトロフィーが数多く飾られる。しかし、今回は、協会が贈呈する優勝旗と三賞の各トロフィーしか飾られていない。
ショーケース

筆者の席は2階のイス席。本来だとこの席は“イスB席”で、料金は4900円である。ちなみに、“イスA席”の通常料金は8600円、“イスC席”は同3600円、最上段の“自由席”は2100円だ。1階の“マス席A”だと、4人が座れる1マスが4万5200円……。協会は、これらの高額な席料をすべて無料にした。
空席状況の看板

事前に用意された無料入場券は、事前抽選分が3万席分で、当選倍率は4.7倍であった。さらに、先着順で6万席分が配布され、残りの6万席は常連用に確保された。以上の入場券は、名目的にはすべて配布済み。ほかに、1000枚ほど当日券がある。しかし、無料であるはずの入場券は、ネットオークションや金券屋で有料販売されているのが実情だ。

では、座席で相撲を観戦しよう! 2階席だが、意外に土俵がよく見えるし、呼出や行司の声もよく聞こえる。とはいえ、有名力士が登場する中入の前だからか、1階席、2階席、ともに空き席が多い。
空き席の多い会場

16時を過ぎたころ、幕内力士と横綱の土俵入りがはじまる。高見盛、稀勢の里、琴欧洲、白鵬……。テレビでしか見たことのない人気力士が、すぐそこにいる。だんだん気分が盛りあがってきた。中入り後の各対戦は見応えがあり、結びの一番まで写真を撮るのも忘れて、土俵に注目してしまった。

中入りの後半で審判が交代するのだが、会場からいきなり「貴乃花!」の声が。そう、正面の審判長として貴乃花親方が入場してきたのである。力士ではなく審判への声援に、会場が笑い声で反応する。そして迎えた白鵬と豊真将の一戦は、豊真将を寄り切って白鵬の勝利。実戦を観戦してみて、白鵬がいかにずば抜けて強いのかを実感した。

こうして、結びの一番を迎えるころには、筆者が到着したときより観客の数は増えていた。それでも、1万1000人を収容できる会場に、入った観客は7割弱くらいだったと思われる。入場券の配布が完了している、つまり名目上は連日大入り満員にならなければおかしい。空席分の入場券は、どこにいってしまったのだろう?

結びの一番

協会は、八百長問題の発覚にともない、3月場所を中止した。そして、八百長への関与を認めた25人の力士らを追放。くわえて、今回の夏場所を名古屋場所の番付編成を目的とする「技量審査場所」と位置づけ、座席の多くを無料で開放するという異例の措置をとった。たしかに、協会が不祥事について反省しているという雰囲気は感じられる。

しかし、これらの措置が、根本的な問題の解決にはなっていないと筆者は思う。八百長は脈々と続いてきたこと。協会がそれを放置し、黙認してきたこと。まずは、そのことを認め、謝罪しなければ、協会、いや大相撲全体に対する人びとの不信感をぬぐえないのではないか。

それに、今回、入場料を無料にしてしまったことの弊害も考えられる。『土俵の真実』(文春文庫)など、相撲に関する著書も多い小林照幸さん(ノンフィクション作家)は、「タダだから観に来た、というお客も相当数いる雰囲気ですね。今後、有料入場に戻ったとき、はたしてお金を払って足を運んでくれるかが心配」と完全無料化を疑問視した。

タダで見ておきながら、言いたいことをいってしまった。他方、タダで見たからこそ、見えてきたものも多かったのだともいえる。力士の取組は、おもしろく観戦したものの、会場の雰囲気は、どんよりと曇っている。晴ればれとしたかたちで場所を開催するために必要なのは、八百長問題に対するあいまいな解決ではなく、きっぱりとした謝罪なのであろう。

(谷川 茂)



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