【インタビュー】LAD MUSICIAN 黒田雄一の普遍的なミニマル 2011-12秋冬

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 「LAD MUSICIAN(ラッド ミュージシャン)」は2011-12年秋冬シーズン、デザイナー黒田雄一(Yuichi Kuroda)氏にとって最もシンプルで普遍的なテーマ「MINIMAL ART ROCK」を掲げてコレクションに取り組んだ。しかし、東日本大震災の影響などを受け、ショー及びインスタレーションの開催は見送られた。 1995年に東京コレクションにてデビューして以来、年2回のショーを約16年続けてきて初めてとなる休止だ。「LADの原点に返った」という心境の変化や今季のコレクションについて、黒田氏のアトリエで話を聞いた。

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 前々回は「ヴァンパイア」、前回は「ドリアン・グレイ」といったコンセプチュアルなコレクションを発表してきた「LAD MUSICIAN」。デザイナーの黒田氏は先シーズンのランウェイショーを発表し終えた時、1つのテーマに基づいて作り込むコレクションに疑問を感じたのだという。「これからの時代、もっと普遍的なものが必要なのではないか」と考えた黒田氏は次シーズンのテーマとして、ブランドの根底に流れる「MINIMAL ART ROCK」という3つのキーワードを並べた。原点へ立ち返るという意味も込められている。

 今季のアイテムは、ポケットやファスナーなどの装飾をなるべく排除してミニマルを追求しつつ、これまで積み重ねてきたデザイン感覚や技術を更にブラッシュアップ。首もとを覆うの大きな衿やフードが特徴で、ショルダーをタイトに縦長のラインを描くことで新しいシルエットに挑戦した。素材や質感を含め、着用した時に初めてわかる良さが黒田氏の考える真のミニマル。そして「音を感じさせるような」というインスピレーションは、「LAD MUSICIAN」ならではの感覚だ。

 黒田氏は今季、発表形式についても洗い直した。これまで16年間開催し続けてきたランウェイショーに代わり、映像や音楽と絡めてライブで発信するといった新しい表現を企画。しかし、その準備の最中に大地震が発生。縫製工場への影響などの要因が重なり、止むなく新しい発表は見送られることとなった。

 しかし、「悲観的には思っていない」と話す黒田氏。「16年目のタイミングで普遍的なデザインを目指したが、この方向性は偶然にも今の状況に合っていた。例え何が起こっても、その外的要因や時代の空気を半年に一度のコレクションに反映して、今よりもっと素晴らしい世界をイメージして作ることが出来るのがデザイナーの仕事」とし、あくまでも「自分の仕事を続けること」が大事だと語った。5月中には、今シーズンのイメージヴィジュアルの発表を予定。「LAD MUSICIAN」らしく変わらない姿勢で、価値あるものを作り続ける。