2年間、47ヶ国のバックパックの旅をまとめた『インパラの朝』で第七回開高健ノンフィクション賞を受賞した中村安希さんの最新作となる『Beフラット』(亜紀書房/刊)は、18人の若手政治家へのインタビューを通し、日本の政治の現状と政治家たちの「本音」をえぐり出した一冊だ。
 「もともと政治に興味がなかった」という中村さんが、インタビュー中に対面した政治家たちの言葉に、これからの日本を担う若い世代は特に耳を傾けておくべきだろう。
 そんな中村さんへのインタビュー。昨日の前編に続いて、今日は後編をお届けする。「政治をあまり知らない」という中村さんがインタビューで感じた、政治家への印象とは…?


■投票に行くことが、社会を変えていく第一歩となる

―若手政治家18人へのインタビューを通して、中村さんが政治や政治家に対して強く感じたことや新たに考えるようになったことは何ですか?

「まずは、政治家の数を減らすべきだということですね。今、国会議員の数は722人ですが、多すぎることで足を引っ張っているように思います。今回、18人の政治家にインタビューをしましたが、その中で私がフォーカスした議員って2人だけなんですよ。それ以外の人に関しては正直いなくてもいいと思うし、もし彼らがいることで、2人の足を引っ張るのであれば、日本は変われないんじゃないかとすら思いますね。
インタビューでも議員定数の削減について話を聞きましたが、多くの政治家は難しいのではないかと言っていました。ただ、ある議員が、定数を減らすのであれば、1人の国会議員に対して政策スタッフを5人つけるなどして、議員の負担を減らしてはどうかという提案をしていました。私はそれで良いと思うんですよ。例えば、優秀な20代を政策スタッフとして雇う。賢い若者はたくさんいますから、そういう人たちをもっと登用して、間口を広げていくべきだと思います」

―中村さんがフォーカスされたおふたりの話って、すごく自然に頭に入ってくるというか、自分が思っている政治家像を体現していました。だから、この本を読んで「日本の政治って駄目なんだな」と思うより、「まだ希望があるじゃないか」と感じられました。

「ただ、私は2人のようなタイプって、近い将来政治の舞台から姿を消してしまいそうな気がするんです。やっぱり他の人たちのほうがテレビの露出も多いし、人気の取り方をちゃんと知っていますから。ホームページを見てもそうだと思います。
それを変えるには、私たちが選挙に行って投票するしかないんですよね。議員定数の削減もそれで変えていくしかないと思います」

―本書の中で、選挙に行って積極的に「×」をつけて投票しようとおっしゃっていましたが、そういう方法もありますね。

「先日の東京都知事選挙でも、20代の投票率が低かったことが話題になりましたよね。若い人が投票したいと思う候補がいなかったことも、原因の一つではないでしょうか。投票したい候補者がいなくても、若い人がいっせいに選挙に行って積極的に『×』を書くことで、少しは政治を変えられるんじゃないかと思います」

―本書は『Beフラット』というタイトルがつけられていますが、どうして「フラット」なのでしょうか。

「それはインタビューの中で民主党の小川淳也さんが何度か繰り返して話された言葉で、あらゆる面でフラット化しなくてはいけない、と。例えば東京を頂点とするピラミッド型ではなくて、地方分権を進めるべきだし、社会保障もそう。結婚や子育てもそうですよね。人々が生きていく環境を平らに整備しなおして、つまりフラットにして、新しい社会を築かないといけないということです。政治の世界も年功序列で、ピラミッド型になっているわけですし」

―中村さんが海外を旅している間、この国の政治は良いと思った国はありましたか?

「私はあまり先進国に行っていないということもあるのですが、だいたいどこも最悪だと思います。ドイツやフランスには政治的に良いところがあるとは思いますけど、基本的には市民の力が強いですよね。
どの国にも良い面はあるし、悪い面もあります。その悪い面をいかに早く直視して変えていくことができるか、ということが大切だと思います。1つの政治のフォーマットで100年、200年やれるかというと、そんなわけがなくて、時代は変化するのだから、少しずつ変化させていく。年金制度もそうですけど、破綻することが分かっているのであれば早く変えるべきですよね」

―では、この本をどのような方に読んで欲しいと考えていますか?

「まず若い人に読んで欲しいですね。私と同世代の方に。それで、選挙に行って、入れたい人がいなければ積極的に×をつけて投票して欲しいです」

―それが、日本を変える一歩になるんですよね。

「そうですね。社会を変えるには、自分が政治家にならないと変えられないというわけではなくて、起業家とか、ジャーナリストとか、仕事を通して社会を変えていっている人も多いですよね。だから、私たちも社会の中でできることを普通にやればいいと思うんです。私は、書く仕事を通して今までの政治参加のイメージを変えていきたいし、読者にもイメージを変えて欲しいと思います」

―ありがとうございました!

(了)


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