好きな喫茶店の見つけ方 (後編)

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私の場合の、その店へ何度も行くか一度きりかの分かれ目は、店の人。領収書の書き方、水の置き方、空の食器を下げるタイミング、他のお客さんが出ていくときの受け答え、すべてに店の人の心って現れます。馬鹿丁寧である必要もないし、多くを求めている訳でもありません。でも店の空気、居心地の良さは、店で働く人がどう思いながら働いているかで作られると思っています。喫茶店だけじゃなくて、すべての飲食店に言えることですけれどね。

コーヒーがわずかに残っているのに何も言わずに下げられてしまったこともありますが、これは私に言わせれば論外。面倒くさそうな顔をして領収書を書く人もいました。自分が客だったらどう思うかという想像力をまったく働かせず、仕事をこなしているんだなと思ってしまいます。
仕事でも友達づきあいでも何でも同じだと思います。またその人に会いたいかどうか。

店主が接客をしていなくても同じです。従業員の姿勢は、すべて店主の姿勢に影響しています。
そういうことまで考えている店主は、従業員に接し方のことまで細かく話したり、アルバイトを採用するとき徹底的に採用する子を見極めたりしています。
私はびっくりするほど美味しいコーヒーを出す店でも、店の人を好きになれなければ二度目三度目はないです。そこを一番見ています。




それから「古い」と「汚い」は別です。これも勘違いされている方をときどき見ますが、長年営業しているということは、長年お客さんが来ているという証拠です。古くて当たり前です。店だって人間と同じで、30年、40年、50年と営業を続ければ老いていきます。ただ、建物が古くても、きちんと掃除して行き届いた手入れをしている店は、よく見ると少しも汚くありません。古さは、店の主人がその店を大切にしていることに他ならないのです。だから古さを切り捨てないで、店主が店を大事にしているかどうかを見てあげてください。

他にも、コーヒー一杯の値段はいくらか、どんな食べ物があるか、使っている器は好みか、音楽はどんなか、音量はどれくらいか?などありますが、この辺は、絶対的な理由というより、拒絶反応が出てしまうほどだと困ってしまうけど、補足的なものと思います。私は、コーヒーが薄いのだけは拒絶反応です、ちなみに。(笑)

喫茶店はコーヒーを提供するだけの場所ではありません。誰かと入っておしゃべりしたり、店主とコミュニケーションしたり、本を読んだり、誰かを思って便りを書いたり。
私は何度も行く店は、店主に会いに行く気持ちで行っています。遠くの町に、友達がひとり増えたような気持ちで。だから結局のところ、ネルで淹れていても、ペーパーでもサイフォンでもいい。
喫茶店は長く営業していればいるほど、いろんな人の人生の詰まった、人間くさい場所だと思っています。
好きな店ができると、その店のコーヒーの味とか、店主の笑顔、座った席からの眺め、テーブルに置かれたコーヒーの姿、何年経っても忘れないものです。そしてまた、行きたくなる。
ぜひ、お気に入りの店を見つけてくださいね。
私もこれからも知らない店に入ってみて、おすすめできる好きな店を増やしていきたいと思っています。









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