両手を広げ、「来い、来い」とアピールするジェイクに、GSPの左が伸びる。残り1分、ハイを受けても、なお距離を詰めることができないチャレンジャーは、前ラウンドを失ったまま最終ラウンドを迎える。

「左目が見えない」というGSPだが、それでも左ハイをヒットさせることが、新ためて驚かせる。オクタゴン中央で右手を合わせた両者、ジェイクが右を伸ばし、GSPが足を使う。ハイ、スーパーマンパンチを繰り出す王者の右のパンチで、挑戦者がバランスを崩す。パンチを受け、バランスを崩すジェイクは、どうしても組みつくことが出来ない。残り2分半、GSPは右を受けても、すぐに右を打ち返す。スイッチを繰り返すジェイクだが、距離を詰めることはできない。スピニングバックキックを見せた王者。残り45秒となり、ほぼ王座防衛を確実にしている。残り10秒のダブルレッグは、切ったジェイクだが、試合終了と同時に、GSPの右手をかかげ、『参った』とばかりの表情を浮かべる。

左目を腫らし、鼻をカットしたGSP。ほとんど傷の目立たないチャレンジャーと、かつてないほど傷を作ったチャンピオン。ただしジャッジの裁定はジャッジ二人が48−47、一人は50−45で、GSPが6度目王座防衛に成功した。

「左目が青く見えるだけで、ハッキリ見えていない。ジェイクは僕が思っていたよりも、良いファイターだった。次? 階級を上げる? 今、試合が終わったばかりで考えられない」と、ジャッジ二人とはいえ2Rを失った試合を振り返った。

ジェイクの得意の展開に持ち込ませず、ある意味、完封したといえるGSPの王座防衛劇。その得意の展開に持ち込めなかった最強のチャレンジャーのパンチが評価されたのは、MMAの奥深さと面白さ、そして難しさを表した試合だったといえる。