大分ではサポーター有志が自主的に集客チラシを作成し定期的に配布している。サッカーが好きでサポーターになったはずなのに、練習試合を観る時間を削って街頭に立つ彼らを動かしているものは何なのか。「トリニータは生活の一部」と言う。生き甲斐だと答える年配の方もいる。ざっくりした言いかただが、それもサッカーのちからだと思う。長い歴史を持つヨーロッパと違いフットボールが文化として根ざしていない日本で、クラブ設立十数年にして1試合2万人超の観客を集めることができた、その可能性は信じたい。

いずれは百年、二百年と続きながら、トップリーグの強豪でなくとも、地域の人の生涯に刻まれるように。選手個人ではなく、クラブそのものを応援してもらえるように。「競技は違いますが、たとえば大阪でいう阪神タイガースみたいに」と語るのは運営事業部長の渡辺博。チケット事業部に所属していた数年前からプライベートの時間を割いてサポーター会議に出席するなど外部との交流を図り、クラブとの繋ぎ役を務めてきた。課題だった得意先訪問は現在5人の営業部員を中心に、他のセクションも手分けして担当している。

社員もホームタウンの住民の一員だ。ファンやサポーターと同じ土地に住み同じ空気を共有して暮らしていることをあらためて認識したい。Jリーグ百年構想が描く青写真は夢のように美しいが、それを現実にかたちづくってゆくのは各クラブの地道な活動にほかならない。

■著者プロフィール
【ひぐらしひなつ】
大分県中津市生まれ。大分トリニータ情報誌「Winning Goal」などに執筆。


携帯版閲覧方法
『サッカーを読む! Jマガ』公式携帯サイト

QRコードでのアクセス
docomo_qr
携帯各キャリア・メニューからのアクセス
  • docomo:iMenu → メニューリスト → スポーツ → サッカー→【サッカーを読む!Jマガ】
  • au:au oneトップメニュー → スポーツ・レジャー → サッカー →【サッカーを読む!Jマガ】
  • SoftBank:Yahoo!ケータイ → メニューリスト → スポーツ → サッカー →【サッカーを読む!Jマガ】


  • 【関連記事】
    4-3-3オプションに手応え。マルキーニョス離脱後を模索する仙台【小林健志】
    FC東京・上々の仕上がり【加部究】
    岡山が喫した開幕戦の「0-5」 どん底からの復活は果たせるか【寺田弘幸】
    風評被害への懸念を前にサッカーのチカラを借りよう【小澤一郎】
    サッカー小僧の系譜/木村和司の真価【清義明】