皆さん、こんにちは。連載シリーズ「新作アニメ捜査網」では今回、現在放送中のテレビアニメ『TIGER&BUNNY』を取り上げます。
ストーリーは、スポンサーの広告を身に纏いながら世の為人の為に活躍するヒーローを描くものです。これらヒーローの活躍は劇中世界でテレビ中継されており、ヒーローはそのテレビの中でランク付けされています。ヒーロー達は、ランキングの上位に上昇することと、企業のイメージアップのために、日夜戦うのであった!本作の特徴の1つとして、劇中のヒーローに広告を載せている企業が実在の企業であるという点が挙げられます。つまりスポンサーは、現実世界においては『TIGER&BUNNY』という番組に広告を出し、劇中世界においてはヒーローに広告を出している形となっています。
特にペプシは、番組の合間に『TIGER&BUNNY』のキャラクターを用いたコマーシャルを放送しており、作品の盛り上げに一役買っています。

さて本稿では、『TIGER&BUNNY』の特質について考えるための手掛かりとして、テレビ番組と広告の関わりについて考えてみたいと思います。

日本放送協会が視聴者から受信料を徴収しているのに対して、地上波の民間放送テレビ局は視聴者から受信料を徴収している訳ではないので、受信料とは別の形で収入を得る必要がありました。
そこで正力松太郎率いる日本初の民放テレビ局・日本テレビは放送上の広告枠を広告主に売るというビジネスモデルを用い、昭和28年、日本初のテレビCMである精工舎のコマーシャルを放送しました。
以降、現在に至るまで放送上の広告枠を広告主に売るというビジネスモデルは地上波の民間放送テレビ局ではお馴染みのものとなる一方、日本民間放送連盟は放送基準の中でコマーシャルのあり方や放送時間のルールを定めました。

さて、地上波の民放テレビ局にとって広告収入はなくてはならないものであり、そのことが、手を変え品を変えた個性的な広告手法の輩出に繋がることになります。

例えば昭和37〜43年に放送されたコント番組『てなもんや三度笠』では番組中に主演の藤田まことが「俺がこんなに強いのも、当ったり前田のクラッカー!」と言ってスポンサー・前田製菓のクラッカーを懐から取り出しています。

昭和35〜36年に放送された特撮ヒーロー番組『ナショナルキッド』は、番組のタイトルロゴはナショナルのロゴ、オープニングにはでかでかとナショナルの看板が映し出され、主人公ナショナルキッドの武器・エロルヤ光線銃はナショナルの懐中電灯、ナショナルキッドを呼ぶための機械はナショナルのラジオという具合に、スポンサーの松下電器産業(現・パナソニック)にとことんこだわった作りになっております。

この他、昭和46〜47年に放送されたテレビアニメ『ルパン三世』でルパンが着ていたジャケットが青緑色である理由は、明確な証拠はないものの、スポンサー・浅田飴の飴の色に合わせたという説があります。

このように、地上波民放テレビ局の番組は広告主からの広告収入を元に制作されるものであり、それはアニメ・特撮番組でも同様です。しかし近年の深夜アニメはやや異なるビジネスモデルとなっています。
基本的には番組の製作委員会に出資する企業がテレビの放送枠を購入して番組を放送しており、つまり製作会社=広告主となっています(全ての番組がそうだという訳ではありませんが)。そして製作委員会出資企業は、DVDやCD等の売り上げで収入を得ているのです。

上記を踏まえて『TIGER&BUNNY』を見ると、次のように言うことができます。『TIGER&BUNNY』の製作委員会にはアニメ制作プロダクションのサンライズ、映像ソフトメーカーのバンダイビジュアル、テレビ局の毎日放送が出資しており、近年の他の深夜アニメと同様のビジネスモデルに基づいて製作されていると考えられますが、同時に、広告主から広告収入も得ているという点で、2種類のビジネスモデルを組み合わせていると言えるでしょう。

■ライター紹介
【コートク】

本連載の理念は、日本のコンテンツ産業の発展に微力ながら貢献するということです。基本的には現在放送中の深夜アニメを中心に当該番組の優れた点を顕彰し、作品の価値や意義を世に問うことを目的としていますが、時代的には戦前から現在まで、ジャンル的にはアニメ以外のコンテンツ作品にも目を向けるつもりでやって行きたいと思います。そして読者の皆様と一緒に、日本のコンテンツ産業を盛り上げる一助となることができれば、これに勝る喜びはございません。

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