“美”の追求は十分に準備をした上で

写真拡大




ある女性が火事で顔にやけどを負った。その女性の顔に残るやけどのあとを取りのぞき、できるだけ火事以前の状態に戻す治療をするのは、形成外科の仕事である。一方、生まれつき鼻が低いが、日常生活で他人から醜いなどと思われてはいない女性がいる。その女性の鼻を高くするための治療をほどこすのは、美容外科の仕事である。

以上でいう「女性」を「男性」に入れかえてもよい。

つまり、不慮の事件・事故などで、身体の外から見える部分(身体外表)が損傷したり、先天的に他人から醜いと思われてしまうような外見の人については、形成外科が治療にあたる。そして、他人からはとくに醜いと思われていなくても、本人が気にしているような身体外表を治療によって改善するのが、美容外科であるといえる。

形成外科は、戦争で顔を損傷した兵士の治療をきっかけに発達し、応用がすすんだ医学であり、治療にあたっては長年にわたる経験が活かされる。一方、美容外科が標榜科、すなわち外に対して「当院は美容外科です」と広告できるようになったのは、33年前のことであり、歴史は浅い。

ほとんどの治療に保険が適用されるのが形成外科で、ほとんどの治療・施術に保険が適用されないのが美容外科である。美容外科で保険が適用されないおもな理由は、差しせまった状況に置かれておらず、かつ金銭的な余剰がある人が顧客だからだ。もちろん、顔や身体のコンプレックスは、本人にとっては“差しせまった”状況なのかもしれないが。

美容外科には、町の外科医が長年にわたって磨いてきた独自の技術があるのかもしれない。“高須クリニック”の高須院長のように、みずからの身体をはった上で美容外科技術の進歩と信頼性を示す人もいる。しかし、以上で示したように、美容外科の歴史は浅く、保険も適用されないのだ。利用する前にそれなりに注意が必要なことは忘れてはならない。

昨今、いい加減な美容外科は淘汰されつつあるようだが、先日、70歳の女性が脂肪吸引手術によって死亡した事例のごとく、“美”を買った代償が命となってしまうこともありえる。美容整形を考えている読者は、徹底した情報収集をした上、医師によるインフォームド・コンセント(患者に対して、医師が十分な情報提供をおこなった上で、治療や手術の同意を得ること)の有無を確認してほしい。

美容外科で身体の一部を変えることは、けっして恥ずかしいことではない、と筆者は考える。お金があるのなら、男も女も“美”を追求すればいい。本人が望むのなら。だが、“美”を追求することにあせりすぎて、事前の準備をおこたると、とんでもない結末が待っているのかもしれない。そのことを心に置いて、美容外科の門を叩いてみてはどうか。

(谷川 茂)

■関連記事
高須クリニックによる被災者の治療一年間無料に賛美の声「イエスっ‼」
高須クリニックが被災者の治療一年間無料「少しでも幸福を取り戻して」
F1韓国グランプリコース画像をフォトショップで加工工事していた!? 「さすが整形国家」「※写真はイメージです(笑)」との声も
マジで若槻千夏かよ! あまりにも変貌しすぎて「整形だよね」と視聴者
教授が市橋達也容疑者にあてた “手紙” 届かず……