4月23日、今年のフィリップ・K・ディック賞が発表され、伊藤計劃の長編『ハーモニー』の英訳版(アリグザンダー・O・スミス訳、Harmony by Project Itoh)が審査員特別賞(Special Citation Award)を受賞した。

 同賞は、作品のほとんどをペーパーバックで発表したP・K・ディックにちなんで、前年にアメリカで出版されたペーパーバック・オリジナルのSF作品を対象に選ばれる賞。

『ハーモニー』は2009年3月に34歳の若さで世を去った伊藤計劃の最後の長編。医療技術の進歩により万人が健康に暮らせるようになった21世紀後半、だれもが健康で平和な社会に対して敢然と反抗を試みた3人の少女と、彼女たちの"その後"を描く。

 日本では、ハヤカワSFシリーズJコレクションから2008年12月に刊行。国内では、第40回星雲賞日本長編部門と、第30回日本SF大賞を受賞している。
 授賞式では、版元である Haikasoru のマスミ・ワシントンさんが著者の父親からのメッセージを代読した。

 海外のSF賞では、2009年のジェイムズ・ティプトリー・ジュニア賞をよしながふみの漫画『大奥』が受賞、村上春樹『海辺のカフカ』が2006年の世界幻想文学大賞長編部門を受賞しているが、英訳された日本のSF小説がアメリカの大きなSF賞を受賞するのは、おそらくこれが初めてとなる。なお、フィリップ・K・ディック賞の本賞は、Mark Hodderの THE STRANGE AFFAIR OF SPRING HEELED JACK が受賞している。

(大森望)







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