新京報など中国各メディアは22日、日本政府が21日に北京で福島第一原子力発電所の事故に関する説明会を開き、「核兵器隠ぺい疑惑」を否定したと報じた。

 日本政府は21日、北京で福島第一原発事故に関する説明会を開き、原子力安全基盤機構の佐藤達夫理事が事故対応について中国企業やメディアに伝えた。新京報によると、ある記者が、日本政府が秘密裏に核兵器を開発しているという日本人ジャーナリストの「陰謀論」に言及し、日本政府が福島第一原発の事故を隠したがるのは、そこに核兵器が隠されているからではないかと質問した。

 これに対し佐藤理事は、原子力安全基盤機構で長年勤務しているが、そんな話は聞いたこともなく、経験から言っても福島第一原発に核兵器が存在するわけがないと答えた。日本政府は事故を隠ぺいしているのではなく、多方面からの意見をふまえて配慮しているにすぎないとした。

 山崎和之駐中国公使は、日本の核兵器に対する立場は一貫している、核兵器を開発しないだけでなく、全世界に核兵器の廃絶を訴えており、「陰謀論」などは成り立たないと述べた。

 「陰謀論」の発端は、日本人ジャーナリストの島津洋一氏が4月6日に米メディア「ニュー・アメリカ・メディア」に寄稿した英文記事だ。日本政府と東京電力の事故対応に疑問を投げかけ、「政府と企業は原発内部に隠された核兵器研究施設が発見されないよう隠ぺい工作をしている」などと論じた。島津氏は日本の英字新聞「ジャパンタイムズ」の元編集主幹で、「香港を拠点とする環境問題のライター」という。中国国際放送局系の「世界新聞報」は、北京の清華大学新聞学院でも客員教授を務めたことがあると紹介している。

 世界新聞報は、日本は核兵器を開発できる充分な技術と原料を有しており、また世界一流の原子力技術を持った日本が旧式の原発を使用していたのは不自然だと指摘する一方で、原発事故の裏に「秘密計画」が隠されているとする充分な証拠はないとしている。だが今回の原発事故でさまざまな憶測が流れるのは、海外の日本に対する不信感が増大していることの現れだとも述べている。(編集担当:阪本佳代)



■最新記事
米メディア「日本は核開発を隠すため海外を拒んだ」?=中国
日本政府、中国企業対象に、北京で風評被害解消へ説明会
中国初の核兵器開発工場跡が国家級観光地に=中国メディア
原発敷地内土壌に、プルトニウム検出の意味
核武装して中国の脅威に対抗すべき 石原都知事の発言に中国も注目