「2011 レースクイーン大賞」で、グランプリを獲得した美波千夏(みなみ ちなつ)
昨年のレースクイーン界を振り返った時、最も飛躍した娘を一人挙げるとすれば、それは間違いなく美波千夏である。新人にして日産系の名門チーム「NISMO」の「AUTECHレースクイーン」に大抜擢。さらに今年一月に開催されたカスタムカーの祭典「東京オートサロン」のステージで発表された「レースクイーン大賞」で、みごとグランプリを獲得した。ファン投票で選ばれたこのコンテストで頂点に立ったということは、その年で最もファンから支持を集めたという証。まさに快挙なのである。

ところが、グランプリの称号を獲得した彼女。活動をスタートした頃は、レースクイーンにさえなれないと思っていたという。「所属事務所からレースクイーンのオーディションを受けることを勧められたのですが、自分なんて受からないと思っていましたし、お母さんからも『あんたなんて受からないわよ』って言われていました」。

だが、受けるからには合格したい。ところが、これまで幾つものオーディションを受けてきた彼女でさえ、レースクイーンのオーディションは、他には無い独特の雰囲気があったという。「女の子同士の見えない何かがあるのか、今まで受けたオーディションの中で一番緊張しました。いま思えば、それだけなりたいという気持ちが強かったんだと思います」。そんな彼女の気持ちが通じてか、みごと合格。しかし、手放しで喜んではいられなかった。

なぜなら、06〜08年の3年間、実はる那(じつ はるな)という人気レースクイーンが「AUTECH」の看板を背負っていたからだ。「実さんの存在は、大きな壁でしたし、レースのことも何も知らなかったので、最初はチームの皆さんに受け入れてもらえるか、とても不安でした」。そんな気持ちを払拭するため、開幕前に行われた勉強会に臨んで、レースのルールやマシンのレギュレーションなどを徹底的に覚えたという。

そして迎えた「SUPER GT」開幕戦。鈴鹿サーキットに向かう車内で、彼女は衝撃的な体験をする。「チームスタッフの方が『サーキットが近づいてきたから、そろそろマシンの音が聞こえると思うよ』と言って下さったので、車の窓を開けてみたんです。すると凄いエンジン音が聞こえてきて、その瞬間、鳥肌が立ちました」。そのことを切っ掛けにレースに魅了されたという彼女。回を重ねるごとにレースクイーンとしての自覚が備わっていった。「ドライバーの横に立って、華を添えるだけの役割ではなく、毎戦チームへの愛や、応援しようという気持ちが強まっていきました」。

その甲斐あってか、周囲を取り囲む環境も少しずつ変わっていったという。「シーズン後半になるにつれ、ステージイベントの時に声援を飛ばしてくれる、ファンの方々が増えていくのを実感しました」。そんな手応えを感じつつシーズン終了。改めて昨年を振り返ってどうだったのだろう?「レースに出会ったことで、人生の中で好きなものが見つかりました!また、レースクイーン大賞を受賞できたことで、チームに恩返しが出来たと思うので、それがとても嬉しかったです。自分が一年通してやってきたことが、間違っていなかったんだと再確認できました」。

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ファン投票で選ばれる「2011 レースクイーン大賞」で、グランプリを獲得した美波千夏

さて、2011年シーズンが間も無く開幕。今年も同チームでレースクイーンを務める美波千夏だが、二年目に向けての抱負はなんだろう?「今年は、昨年以上の活躍をしたいです。デビューの時から私の写真やサインをもらってくれた人たちが、後々それを貴重だと思ってもらえるくらいの存在になりたいです」。では、目標とする先輩レースクイーンはいるのだろうか?「目標にする人を決めてしまうとその人の真似になってしまうので、誰かを目標にするというよりは、目標にされるようになりたいです。私の活躍を見てレースクイーンになりたいと思ってくれる人が出てきてくれたら本当に嬉しいです」。

あえて目標とするレースクイーンを将来の自分像に置き、唯一無二の存在を目指す美波千夏。彼女のレジェンドはまだ始まったばかりだ。

(文・写真/矢沢隆則)

■関連サイト
美波千夏 -公式ブログ
スリーライズ -所属プロダクション - 公式サイト