5月8日に始まる大相撲の技量審査場所は、大相撲史に残る「面白い」場所になるかもしれない。露骨な八百長はできないため、ほとんどの力士がガチンコ勝負で臨むだろう。そこで本誌『週刊ポスト』は、長年にわたる八百長相撲取材から得たデータをもとに、「5月技量審査場所」の展望を、シミュレーションする。

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当たり前のことではあるが、ガチンコ相撲の最大の特徴は、立ち合いから勝負がつく瞬間まで双方が力を抜かない点にある。お互いががむしゃらに攻防を繰り返し、土俵際までもつれる取組が激増することが予想される。

「力士がケガをするのは稽古場が多い。なぜなら親方の厳しい目が光っており、終始ガチンコだからです。捻挫や擦り傷は当たり前。中にはじん帯を伸ばしたり、骨折する力士もいる。本来、相撲はそれほど激しいものなんです。稽古場の相撲が場所にそのまま持ち込まれることになるので、ケガ人が続出すると思います」(元幕下力士)

早期脱落候補と見られているのが日馬富士である。185cm、129kgと幕内では小兵。過去、小兵の力士が大関昇進後にケガする例は多く、日馬富士も大関昇進後のケガが目立つ一人だ。

「小兵大関では栃東(現・玉ノ井親方)のケースが記憶に新しい。若貴をライバルとしてガチンコを貫いてきたが、ケガが多く2回も関脇に転落した。大関という立場では立ち合いの変化も許されないので、頭からぶつかるしかない。現役中に脳梗塞を発症するなど頭部に重大な問題を抱え、それが引退の引き金になった」(出羽一門の親方)

激しい相撲で日に日に力士が負傷、脱落して、中日以降は激減する可能性もある。ガチンコとはそこまで厳しいものなのだ。

そんな中、注目されるのが魁皇である。今年で39歳、初土俵から23年目を迎え、既に満身創痍である。当然ケガをする確率が高そうに思うが、さにあらず。ある角界関係者は、「魁皇だけは心配ないだろう」と意外な見通しを語る。

「彼は日本人力士最後の砦。特に地元の九州場所は、彼抜きに集客はできないとあって、今年の11月までは協会も絶対に引退させたくない。力士仲間からの人望も厚いので、“魁皇関にケガをさせては大変だ”と、“片八百長”になる可能性が高い。もちろん魁皇自身の相撲の巧さもあるので、まさかまさかの優勝だってあるかもしれない」

そんな見方をされるのは魁皇にとって迷惑な話だろうが、相撲人気がここまで低迷している今、「日本人力士随一の人気を誇る魁皇にケガで引退されては困る」のは、角界の共通認識なのだ。

※週刊ポスト2011年4月29日号




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