『総天然色ウルトラQ』の衝撃

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4月14日、秋葉原UDXシアターにて、『総天然色ウルトラQ』の完成発表記者会見が行われた。昭和30年〜40年代生まれの男子なら皆そうであったように、ウルトラマンと怪獣と宇宙人に囲まれて幼少期を過ごした記者が、その模様を私情を交えながらレポートしたい。

『ウルトラQ』は円谷プロダクション初の自社企画作品であり、後にウルトラシリーズとなる空想特撮シリーズの第一作である。制作が開始されたのは、東京五輪開催、東海道新幹線開業など、まさに日本の高度成長期を代表する出来事のあった昭和39年だ。

……そして、全くの私事で大変恐縮だが、それは記者の生まれた年でもあり、ゆえに記者は、残念ながらリアルタイムで『ウルトラQ』を見た世代ではない。もちろん再放送では見たことはあるが、幼少期の記者にはモノクロの『ウルトラQ』は大人向けでありすぎた。

ゴメスもマンモスフラワーもナメゴンも、今から振り返ればコミカルな演出がされていたはずのカネゴンでさえ、とても怖くて見るたびに泣きそうになった。ウルトラマンが来てくれないのが、子ども心に救いがなさすぎた。雑誌などで知識を仕入れるようになり、いっぱしの“かいじゅうはかせ”に成長してからも、例えばウルトラマンで登場するラゴンは元々は音楽好きとされていたが、それが『ウルトラQ』のエピソードで言及されているということを知ってはいても、積極的に見る気にはなれず、トラウマのような状態が長く続くことになった。

そんな昔の記憶を思い起こすと同時に、それほど古い作品のフルカラー化など本当にできるのだろうか、版権ビジネスの新提案といったレベルに留まるのではないかという懸念も頭をよぎった。ところが(これも子ども心に怖かった)おなじみのイントロから特報が流れた瞬間、そんな懸念はすべて吹っ飛んでしまったのだ。公式にいただいた画像をできるだけ多く掲載するので、まずはご覧いただきたい。

左から桜井さん[江戸川由利子 役]、佐原さん[万城目淳 役]、西條さん[戸川一平 役]
▲左から桜井さん[江戸川由利子 役]、佐原さん[万城目淳 役]、西條さん[戸川一平 役]

第1話:「ゴメスを倒せ!」
▲第1話:「ゴメスを倒せ!」

第4話「マンモスフラワー」
▲第4話「マンモスフラワー」

第11話「バルンガ」
▲第11話「バルンガ」

プレゼンを行った円谷プロの堤プロデューサーは、自分が生まれる前の作品だと前置きしてから『ウルトラQ』のカラー化について詳細な説明をされた。TV作品でありながら、もともと映画と同様の35 mmフィルムで撮影されていたことがハイビジョン化のキーポイントであり、その当時にカラーで制作された場合の色調を再現したこと、フィルムの質感(フィルムグレイン=粒子状のノイズ)を残したことを強調した上で、下記のようにして着色を決定していったと語った。

 (1)円谷プロに残っている資料やカラー写真で確認。
 (2)資料がないものは当時の講談社の子ども向け雑誌のグラビア展開を参考にした。
 (3)江戸川由利子役の桜井浩子さんから当時の撮影風景や衣装について意見を求めた。
 (4)現実の東京駅や羽田空港といったランドマークの時代考証。

その後、カネゴン、ゴメスとともに飯嶋敏宏監督、佐原健二(万城目淳役)、西条康彦(戸川一平役)、桜井浩子(江戸川由利子役)の各氏が登場し、撮影当時の話題に花が咲いた。桜井浩子さんはほとんど自前の衣装で撮影に望んだため、衣装の色はほとんど記憶していたとのこと。飯嶋監督は、当時円谷プロの倉庫に遊びにきた子どもたちを、ウルトラシリーズに多大な貢献をした脚本家、故・金城哲夫さんが怪獣のぬいぐるみに入って喜ばせていたというエピソードを披露し、記者席にも多くいるオールドファンをホロリとさせてくれた。

記念すべき第1話「ゴメスを倒せ!」本編の上映が始まると、記者は思わず手に汗を握った。そこにあったのは、古き良き頃の、まさに総天然色の怪獣映画である。例えるなら『モスラ対ゴジラ』などと同等以上のクオリティで『ウルトラQ』がカラー作品として再現されている。非常に驚き、また興奮した。また、一平役の西条康彦さんがこの会見で語っておられたように、昭和40年代の風景が完全に再現されているととらえれば、最新の技術が惜しげもなく投入された最高にリッチでゴージャスな映像でもある。

モノクロの光と影を強調したオリジナルの『ウルトラQ』の世界が、明るいカラー画面に置き換えられたことで、視聴者が受ける印象も大きく変わった。例えばリトラの尾に使われた孔雀の羽が、そのままに見えることで、手作り感や親しみやすさがより感じられるようになった。だから、飯嶋監督が会見でコメントされた通り、全くの新作としてとらえ直すことも可能だ。何より『ウルトラマンメビウス』『大怪獣バトル』といった最近の作品中では『ウルトラQ』のエピソードは、初代ウルトラマンが地球にやって来る前、人間だけで力をあわせて怪獣に立ち向かうしかなかった時代の出来事として史実とされている。そんな視点から、ウルトラマン以降のファンが初めて視聴するにも、この総天然色版が最適だと感じられた。

ゴメスに立ち向かう、カラー化でより華奢で可愛いイメージになってしまったリトラの健気な戦いぶりに、記者は思わず涙した。本編上映前にゲストの各氏はすでに退場されていたが、上映終了後は記者席から自然な拍手が起こった。独創的なコンテンツには、どんなに時代や技術が変わろうとも、普遍的な魅力があるのだということを改めて実感した取材となった。

なお『総天然色ウルトラQ』ブルーレイBOX、DVD-BOXの発売前に、WOWOWにてモノクロの『ウルトラQ ハイビジョンリマスター版』の放映が決定している。特に2011年6月26日10:00から第1話・2話の先行無料放送が行われ、BSが視聴できる環境であればどなたでもご覧いただける。こちらもぜひ注目していただきたい。
左からカネゴン、飯島監督、桜井さん[江戸川由利子 役]、佐原さん[万城目淳 役]、西條さん[戸川一平 役]
▲左からカネゴン、飯島監督、桜井さん[江戸川由利子 役]、佐原さん[万城目淳 役]、西條さん[戸川一平 役]

■ 参考サイト
『総天然色ウルトラQ』 公式サイト (http://m-78.jp/q/

(ピエール素多)


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