吉瀬美智子の初主演で話題となったドラマ『ハガネの女』。原作は集英社『YOU』で連載中の深谷かほるの人気コミックです。ハガネこと、芳賀稲子は35歳独身の小学校教師。結婚のため一度仕事をやめますが、婚約者にふられ、学校の現場に戻ってきます。

 不登校の子、クラスメイトに唾を吐きかけ「死んでください」と言う子、イジメられていることを隠す子...さまざまな子どもたちがいます。さらに、注意された腹いせにハガネの給食に汚れた雑巾のしぼり汁を入れる子まで。先生にタメ口は当たり前。うやまう気持ちはおろか、敵意をむき出しにしています。モンスターチルドレンたちは形を変えて、ハガネに襲いかかります。

 モンスターペアレンツもしかりです。「教育委員会に訴えますよ」という言葉は序の口。子どもの言い分を鵜呑みにして、「全校生徒とクラス全員の前で謝罪訂正してください」と要求する親まで現れます。

 ハガネはそれらに真っ向から勝負を挑みます。持ち前の明るさで奇跡的に事件を解決するのではなく、地道に、かつ大胆に生徒や親にアプローチをかけ、けっしてネガティブにならない。読者はハガネの活躍に爽快な気分になること、うけあいです。当たり前のことをやっているという印象をもち、主人公に親近感がわきます。過去の学園ものにありがちな強烈な個性の持ち主でないからこそかもしれません。

 作者の深谷かほるは、子どもをもつ一人の母親。PTAの役員をきめるくだりや学校を相手に親たちが結託する姿は、直接聞くなり経験したことがあってこその描写ではないでしょうか。また、ハガネが問題のあるシングルマザーと最後に分かり合い、「お母さんの笑顔ってホントにいいね」というセリフがあるシーン。想像でしかありませんが、作者のシングルマザーへのエールにも思えます。

 テレビドラマは、4月21日からゴールデンの「木曜ドラマ」枠(テレビ朝日・21時〜 初回20時〜2時間スペシャル)で続編が放送されることになりました。じつは今回のドラマはオリジナル脚本。どんなストーリーが展開されるのか待ち遠しいところですが、原作コミックを読んで、味わいの違いを楽しむのもいいかもしれません。



『ハガネの女』
 著者:深谷 かほる
 出版社:集英社
 >>元の記事を見る





■ 関連記事
震災後、「結婚式の姿」が変わった?〜『結婚問題』(2011年4月7日16:24)
人生は100点満点を目指さない方が良い?〜『孤独と不安のレッスン』(2011年4月7日08:30)
モテる女子へのキーワードは「半タメ口」?〜『くすぶれ!モテない系』(2011年4月6日08:53)


■配信元
WEB本の雑誌