『地球の歩き方』の作り方(1)

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 今月末からいよいよゴールデンウィークに突入します。この時期は海外旅行に行く人も多いかと思いますが、初めて足を踏み入れる旅先で頼りになるのがガイドブックです。
 『地球の歩き方』シリーズは1979年に創刊された、おそらく日本人には一番なじみのあるガイドブックではないでしょうか。しかしこの『地球の歩き方』シリーズ、創刊の経緯は一風変わったものだったようです。
 今回は同誌編集本部本部長の石谷一成さんに、『地球の歩き方』の成り立ちや歴史、情報収集の方法や旅の楽しみ方まで、お話をうかがってきました。(以下、敬称略)

■「『地球の歩き方』は、元々は本にするつもりで作っていたわけではないんです」

―『地球の歩き方』といえば2009年に創刊30周年を迎えた、おそらく日本で一番有名なガイドブックですが、これまでの累計発行部数をお教えいただけますか?

石谷「総発行部数はちょっとわからないのですが、ガイドブック関係の本は合計220〜230タイトルくらいありまして、年間の発行部数は約800万部ほどです」

―創刊されたのは1979年ということですが、創刊当初のコンセプトはどのようなものだったのでしょうか。

石谷「『地球の歩き方』は、本々は本にするつもりで作っていたわけではないんですよ。
1960年代の日本には、自由旅行というものがそもそもなく、ほとんどがパッケージ旅行だったんです。旅行会社に行って買えるものがパッケージ旅行しかなかった。そこで、弊社が最初に自由旅行の販売を始めました。“自由旅行”という言葉を使ったのも弊社が最初だったのではないかと思います。
当時、旅行会社は現地でのホテルをつけないと旅行業約款に引っかかってしまい、手配旅行を組めなかったんです。だから弊社は、たとえばヨーロッパを1か月自由旅行するプランだと、ロンドンに着いてまずそこでの一泊分の宿を手配して、そこから一か月間は何をやってもいいので、一ヶ月後にパリのこのホテルに来てくださいという設定を作りました。そこがスタートですね。当時はヨーロッパとアメリカでそのようなプランを作っていました。アメリカはロサンゼルスがスタートでニューヨークがゴールでしたね」

―それはすごく楽しそうですね。

石谷「最初と最後だけ手配して、間は自由なんですよ。アメリカならグレイハウンド(アメリカ最大規模のバス会社)のパスを渡して、宿は各自で見つけてもらって、あとは自由にやってくださいと」

―では、現在の『地球の歩き方』につながるようなガイドガイドブックを作り始めたのはなぜだったのでしょうか。

石谷「先ほどお話したように自由旅行のプランを作ったのですが、当時の旅行ガイドブックというのはパッケージ旅行用のものしかなかったんです。だから現地でホテルはどうやって取ったらいいのかとか、列車にはどうやって乗ったらいいのか、といった情報を載せた冊子を無料で付けていました。その冊子に、実際に旅行に行った人からいただいた“このホテルが良かった”“この街はこうだった”といったレポートを併せて次に行く人に渡すようにしたんです。それが『地球の歩き方』の始まりです。だから最初は全部無料でやっていたんですよ。
でも、そのうちにそれが結構なボリュームになってきたので、きちんと情報を書き足して本になったのが1979年に刊行したヨーロッパ編とアメリカ編だったんです」

―それは知りませんでした。

石谷「ただ、本を売ることだけが目的ではなく、見た人が自由旅行に行ってくれるように、つまり旅行の販促用でもあったんです。だから当時の本の中には旅行の説明会の日程とかがものすごくたくさん入っています(笑)
それがちょうど成田がオープンしたり、円も高くなってきたりで、日本人が海外に行き始めるようになった時期でした。それに伴い、『地球の歩き方』の需要も増えていきました」

―『地球の歩き方』を制作する際、情報はどのように集めているのでしょうか。

石谷「基本的には現地に取材を出しています。あとは現地に住んでいる日本人の方など、協力者もたくさんいるので、そこからも情報を得ていますね」

―そういえば、以前にインドのムンバイで取材をされている方に会ったことがあります。ホテルなどを一軒一軒歩いて回ると聞いて、これは大変なお仕事だなと思いました。

石谷「そうですね。かなりパワーのいる仕事だと思います。荷物も多いですし、一日10数件、約1か月休みなしで回りますからね、大変です」

―その方は、インドの場合、ホテルやレストランなどのサービスの質は、ある程度のランク以上の店だといつ見に行っても大きな変化はないのですが、安宿などはコロコロ変わるからマメに見ないといけないと言っていました。

石谷「『地球の歩き方』の情報を更新するときに、現地のホテルやレストランにファックスやメールで料金などの変更点を聞くのですが、先進国や、宿でもちょっと上のランクだと“こことここ変えてください”というふうにすぐ返事が来るんですよ。でも安宿は全然返事が来なかったりするんで実際に足を運ぶしかないんですよね(笑)」

―メールやファックスである程度情報が集まるなら、取材がそれほど必要ではない国もありそうですね。

石谷「まあ結局は取材するのですが、メールやファックスの返事が返ってくるところはそれを見てから取材に行くので、一からチェックする必要はないですね。
インドやアフリカ、フィリピンの島の方だと全然返事が返ってこないこともあります」

―石谷さんご自身も取材に行かれたりされるのでしょうか。

石谷「うちの社員自体はプロデューサーなので、実際の取材には動きません。現地に視察には行きますが、ホテルを一軒一軒回るような取材はしないんです。
そういったことは外部のスタッフの方にやってもらっています」

―現地での情報収集をしやすい国、またはしにくい国はありますか?

石谷「あります。ロシアなどは今でも事前に宿や行程を決めて、お金を払ってからでないとビザが下りないんですよ。もし予定通りいかないようならその部分を飛ばすしかない。そういう国は面倒ですね。
逆に欧米はやりやすいですが費用がものすごく高いです」

―『地球の歩き方』は創刊時と今で、内容の違いはありますか?

石谷「ものすごく変わったと言われるんですが、基本的なところは変わっていません。
変わったところといえばカラーになった点や、創刊当時はあまり載せていなかった高級ホテルの情報を載せるようになったことなどでしょうか。
ただ、当時の本が300ページだとすると、今は500ページくらいにはなると思います。だから内容は変わらずボリュームが増したというのが正解ですね。
ユーザーの方々から“バックパッカーに優しくない本だ”など様々なお叱りを受けますが、基本的には“『地球の歩き方』を持てば現地で自由に動ける”というコンセプトは変わっていません」

(後編『地球に歩き方』から一本外れた旅をしてみてほしい に続く)


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