全国の書店員が毎年、「いちばん売りたい本」を選ぶ『本屋大賞』。これまでに数々の大ヒット作を生み出してきた同賞の発表が4月12日に行われ、今年は東川篤哉さんの『謎解きはディナーのあとで』(小学館)が大賞を受賞しました。

 書店員の大きな支持を得ての受賞について、東川さんは「率直に言ってすごく嬉しい。そもそもこの作品は、書店員の方にたくさん推薦してもらって有名になったもの。みなさんには本当に感謝申し上げたい」と話します。

 1968年生まれの東川さんは、26歳のときに勤めていた会社を辞め、雑誌『本格推理』(光文社)に短編推理小説を投稿。当時、編集長だった鮎川哲也さんに「凡手ではない。光るものがある」と言われ、推理作家への道を歩み出しました。その後、2002年には光文社のカッパノベルスから『密室の鍵貸します』で長編デビュー。本格推理にユーモアを混じえて語る作風で、男性を中心としたミステリマニアから人気を得ていました。

 しかし、受賞作となった『謎解きはディナーのあとで』は、女性読者が多い文芸誌『きらら』(小学館)の掲載作品。

 「以前は、どちらかと言えばミステリマニアを意識して書いていたが、本作では女性に向けて書くということを考えた。そのため、ちょっとオシャレで、本格推理ものにはあまりない雰囲気に仕上がった。それが、普段はミステリーを読まない人にも受け入れられた理由のひとつでは」と東川さんは分析します。

 また、本作の特徴でもある「お金持ちの令嬢刑事と毒舌執事の掛け合い」という設定については、「実は、普段からテレビを見たり街を歩いていたりすると、『この人が探偵をやるとどうなるのだろう』と考えてしまう癖がある。それで少し前に、執事喫茶がブームになっていると知り、そこから思いついたのがこの作品。お金持ちのお嬢様という設定は、名探偵ホームズとワトソンではないが推理小説には相棒が必要なので、その相棒に誰が合っているかと考えた。執事ならお金持ちのお嬢様に仕えているのだろうと、自然に決まった」とのこと。

 毎年、受賞作が大ヒットすることで知られている『本屋大賞』ですが、すでに『謎解きはディナーのあとで』は100万部、16刷を突破。今回の受賞により更なるヒットに期待がかかります。

 「有名な賞をいただいたことで、今までと違い、今後は初めから注目されている状態で書いていかなければならない。でも、自分にはミステリーしか書けないので、この作風は変えずにやっていくつもり」と東川さん。「人間はそこに謎があると、本能的にそれを解きたくなってしまうもの。ミステリー小説の魅力はそこにある。しかし、読んだことがない人には『難しそう』『怖そう』と思われてしまっている。自分がユーモアのある本格推理ものを書くことで、そういった人にとってのミステリー入門編になれれば」とも。

 現在は、年内刊行予定の続編を執筆中ということで、こちらにも大きな注目が集まりそうです。


書籍データ
『謎解きはディナーのあとで』(小学館)
著者 東川篤哉
価格 1,575円(税込)







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