自粛ムードを吹き飛ばせ「復興とファッション」vol.4 Elastic主宰dale

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 3月11日に発生し甚大な被害をもたらした東北太平洋沖地震は、日本や世界中を悲しみと不安に包み込んだ。危機的状況の今、ファッションに携わる人々が何を考え、行動を起こしているか。そして今後の長期的な震災復興に向けて、ファッションが出来ることとは何か。「復興とファッション」をテーマに、ファッションに深く関わる方々の考えや思いを届ける。
 vol.4は、ファッション、女性誌、トレンドを独自の視点でウォッチし続ける人気ブログ「Elastic(エラスティック)」を主宰するdale氏。

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ー「自粛ムード」を吹き飛ばすきっかけをー

 3月16日、JR大阪駅南側で増床工事が進められていたサウスゲートビルディングが開業し、大丸梅田店増床部がオープンした。待ちに待った大丸リニューアルオープンの日であるが、その5日前に東日本大震災が起きたため、大丸は被災者に配慮し開業式典を中止した。リニューアルオープン直後なので人でごった返すはずだが、週末の大丸の様子は3月3日に全館グランドオープンした高島屋と比べるとやや寂しいものであった。

 正直、停電や余震の懸念が小さい関西にはそこまで影響がないと思っていたのだが、私が考えていた以上に街の空気が沈んでいるように感じたので、馴染みのセレクトショップを回り地震の影響を聞いてみたところ、「数日で客足は戻った」「あまり影響を受けていない」「地震直後だけはさすがに」「入荷の遅延があったくらい」といった感じで、自粛ムードの影響をそれほど受けていないと言う。

 ニュースでは全国的な消費マインドの冷え込みが連日報じられ街にはいつもの活気が感じられない。しかし服を買っているファッション好きはたくさんいる。実際のところ、ファッション好きの消費マインドはどうなっているのか知りたく、震災が起こった11日以降気持ちや行動がどのように変化したのか、自サイトElasticで読者に簡単なアンケートを取ってみた。期間は3月26日から3月29日の4日間。総回答数604でコメントは33件寄せられた。

 結果は次のとおりである。


Q.震災後、ファッションに対し消費マインドはどのように変化しましたか?

・特に変化はない183票(30.2%)
・消費意欲が減退し、一時的に買い物を中止した(している)150票(24.8%)
・経済を停滞させないため、積極的に消費している(したい)148票(24.5%)
・消費意欲は低下したものの、買い物している(その予定)115票(19%)
・その他8票(1.3%)


 「特に変化はない」に最も票が集まった。半分以上の票を集めるのではないかと予想していた「消費意欲が減退し、一時的に買い物を中止した(している)」は約25%に留まり、「経済を停滞させないため、積極的に消費している(したい)」がそれとほぼ同じ割合である。消費マインドの回復は意外と早いのではないかと予感させる結果だ。

 寄せられたコメントもいくつか紹介してみたい。


「関西住みです。最近ニュースを見てると気が滅入ってしまい、買い物にはいく気になれませんね。通販サイトは見てるのですが、カートに入れるってことはなくなりました」

「当方、宮城県仙台市在住。やっとライフライン復旧したところです。お店もほとんど開いていないし、交通機関もまだまだ。何より3月下旬なのに2月下旬並みの寒さなので服なんて買う気になりません。通販も運送会社の関係でいつ届くか分からないので利用するきになりません。今はガソリンと肉・野菜が欲しいです」

「東京在住。既に買い物しました。あちこちお店も見て回りました。無駄遣いはよくないですが、普通に消費者として買い物しなければ、自分の好きなお店も潰れてしまいます。もう既にイベント会社など潰れた店もあると聞きます。むやみな我慢や自粛こそ、復興を妨げると思います」

「半袖の服が並び始めているのでTシャツを買ったくらいですが、去年は4月になっても寒かったので出番はだいぶ先なんだろうな、と。震災直後は報道で被害の状況を見ては体調を崩しかけましたが、不謹慎と思う人もいるでしょうけど、こういうときこそ消費をして経済を回していかないと日本自体が疲弊しちゃいますし何か物を買ってストレスを発散するのも必要なときでしょう。普段は贅沢だなと二の足踏んじゃうようなものを買うくらいでちょうどいいんですよね」

「関西在住。いまはまだファッションものの買物には罪悪感あります。ファッションにお金は使わないけどその分寄付にまわしました。下着や靴下さえもなく困ってる人がいるのにファッションを買う気になるなんて...。まだまだタンスに着れるものがあるから贅沢品に感じてしまうんですよね...」

「北関東在住です。私個人の消費意欲は特に変わらないのですがお店が閑散としすぎていて買い物がちょっと苦痛です。計画停電の影響もあってお店の営業時間が短縮されてる事も」

「やれ自粛だとか不謹慎だとか。他人の目を気にしすぎる風潮を現在とても感じているひとりです。被災してとてもファッションにまわすお金がない人達には言葉にならない同情を感じます。でもそれと欲しいものを買うのは別。インポートばかりです。なるべくならメイドインジャパン製品を買いたい。いいもの作ってほしいな。買うものないよ」


 消費マインドの落ち込みばかりが報道され見えにくくなっているが、消費することで復興の手伝いをしたいと考えているファッション好きもたくさんいるのではないか。ファッション好きを刺激する、消費するきっかけさえ与えてくれれば、ファッションを楽しみたい人はたくさんいるのではないか。アンケートの結果を見るとそう思わずにはいられない。

 要はきっかけなのだ。過剰な「自粛ムード」が妨げになっているだけなのだ。残念ながら「東京発 日本ファッション・ウィーク(JFW)」は中止となってしまったが、「自粛ムード」を吹き飛ばすような、明るいイベントや夢のような企画をファッション好きは待ち望んでいる。そして、消費者として消費し少しでも経済を回したい、復興の手伝いをしたい、被災地に活気が戻るよう盛り上げていきたい。多くの消費者はそう考えていると思うのだ。ファッションには人々を前向きにさせる力がある。一消費者としてそのようなイベントが数多く開催され、少しでも多くの人が前を向けるよう祈るばかりである。

(文:ブログ「Elastic」管理人dale)

■Elastic
ファッション、女性誌、トレンドをウォッチするブログ。管理人は関西在住のdale。月間ページビュー約50万。
 http://taf5686.269g.net/

■特集「復興とファッション」
 vol.1 -ファッションがもたらす7つのこと- ファッションジャーナリスト宮田理江
 vol.2 復興支援とファッションにできること
-ファッション・エイドの提案- シナジープランニング代表 坂口昌章
 vol.3 - エイズ、阪神大震災、そして今ファッションにできる事 - JFW理事 太田伸之