手紙、電話、メール......と、人が他人に自分の思いを伝える手段は次々に進化してきました。その歴史をさかのぼると、文字がなかった頃、人は言葉の代わりに様々な石を使っていたと言われています。

 何でも、自分の気持ちに似た石を探して相手に贈り、貰った方は、その石を握りしめた時の感触で相手の心情を読み取っていたのだとか。私たちの先祖は、そんな風に随分と手間ひまをかけたコミュニケーションをしていたそうです。

 放送作家の小山薫堂さんが、この「石文」について知ったのは、向田邦子さんのエッセイからでした。「今は、携帯メールにハートの絵文字を使うだけで、簡単に"好き"という思いが届く時代。噛まなくていい流動食のように、努力しなくても気持ちをダイレクトに伝えることができる。その分、噛む力、つまり相手の思いを"読み取る"とか"おしはかる"能力が、退化してしまった気がする」と小山さんは述べています。

 文明が進み、複雑な表現もすぐに伝達できるようになりました。しかしその反面、相手に伝えようとする「意思」や、相手の気持ちを理解しようとする「努力」が欠けているのではないかと、小山さんは投げかけているのです。

 他人とコミュニケーションする上で大切なことは、言葉や絵文字をうまく使いこなすことではなく、相手の心を読み取る感性を磨くことなのかもしれません。



『つながる技術』
 著者:小山 薫堂
 出版社:PHP研究所
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