「人生には0点か100点のどちらかしかない」

 そんな潔い生き方はわかりやすくて、なんだかカッコいい感じがします。しかし、現実の生活ではどちらとも割り切れない微妙な評価を突きつけられることの方が多いもの。そうした微妙な評価は、価値がないものなのでしょうか。

 演出家・作家の鴻上尚史さんは、書籍『孤独と不安のレッスン』のなかで、数字にまつわる次のようなエピソードを語っています。

 オールナイトニッポンのDJを担当していた25歳の鴻上さん。毎回、一生懸命ギャグを考えてしゃべったそうですが、一度スベると真っ青になって、番組はどんどんつまらなくなってしまったそう。

 途方に暮れる日々が続いていたとき、鴻上さんは知り合いから「毎回、成功させようと思わなくてもいいよ」とこんなアドバイスを貰いました。

 「だって、名打者と言われている長嶋さんや王さんの終身打率って3割。つまり、3回に1回打つだけで、名バッターと呼ばれて、名球会の殿堂入りするんだ。3回に1回、ヒットを打つだけでも大変なことなんだよ。鴻上君は毎回、成功させようとしているだろう。10割バッターになろうとしているんだよ。それだと、体も精神も持たない。3回に1回でいいんだよ。それで、歴史に残る名選手なんだから」

 このアドバイスにより鴻上さんは「本当に楽になった」と言います。

 ちなみに、ゴジラ松井も3割。あのイチローでさえ3割5分です。激烈な競争社会のプロ野球で、3回に1回、ヒットを打てば、歴史に残る名選手になれるのです。しかも、ほとんどの選手は3割に届きません。

 こうしたエピソードを聞くと、人生は100点満点を目指さなくていいのかもしれないという気がしてきます。もしかしたら、何事も肩の荷を下ろして挑んだ方が、かえって良いパフォーマンスができるのかもしれませんね。



『孤独と不安のレッスン』
 著者:鴻上 尚史
 出版社:大和書房
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