類稀な線香画に圧倒される特異体験を是非。市川孝典 2つの個展

線香を使って絵を描く新しいスタイルで「現代絵図を全く異なる方向に大きく旋回させた＜線香画＞」と称される市川孝典（いちかわこうすけ）の作品。

Untitlr(rose) 2011/和紙に焦げ跡/870×870mm
©Ichikawa Kosuke

自分の記憶を辿って線香の焦げ跡で描き出される彼の作品は、触れたら崩れてしまいそうな儚さと、必然性すら感じさせる大胆さを持ちあわせ、見るものを唯一無二の体験へと誘ってくれる。そんな彼の「移動式遊園地」と「花」をモチーフにした新作が、2つの展覧会『merry-go-round』と『FLOWERS』で、発表・展示される。

まず、4月6日〜5月8日、東京都現代美術館内のWall Gallery＠NADiff contemporaryで開催される『merry-go-round』では、焦げ跡で描かれた、市川の作品では今まで一番の大作となる6m×3mの新作を展示。

幼い頃お祭りが嫌いだった。あんなに楽しくても特別な日でも明日には何も無かったかのように生活が始まってしまうから。今のパーティーもその影響だろう。物心ついてから、各地で出会った移動式遊園地今後は自分の移動（旅）の方が早かったから何の寂しさもなくなっていた。だから自分の記憶の中には永遠にそこにある。−市川孝典

一方、4月28日〜5月29日に恵比寿のNADiff Galleryで行われる『FLOWERS』では、地下のギャラリーだけではなく、花と昆虫モチーフの新作で1階の店内全体をも彩られる。

頭の中で幾重にも重なり消え行く花のイメージ。とても冷たく静かな。それは標本のようにまるで生命を感じさせないただの完璧な形。−市川孝典



また今回、市川孝典と「B印YOSHIDA」ブランド（BEAMS×吉田カバン）とコラボレートが実現。鞄と名刺入れがNADiff GALLARYで同時に展示・販売される。
ちなみにビームス社長の設楽洋氏は、市川孝典を『“突き抜けた才能（センス）”がある稀有な“変態画家”』と賞賛している。

「鑑賞」というより、むしろ「目撃」に近い体験をぜひお愉しみあれ。

『merry-go-round』
2011年4月6日[水]‐5月8日[日]
Wall Gallary＠NADiff contemporary
（東京都現代美術館内）

『FLOWERS』
2011年4月28日[木]‐5月29日[日]
NADiff Gallary
(NADiff A/P/A/R/T,恵比寿）
＜オープニングレセプション＞　4月28日（木）20：00〜21：00
アーティスト対談：設楽洋（ビームス代表）×市川孝典（アーティスト）

■verita関連記事　強烈に優美な木々のざわめき　市川孝典