東日本大震災: 就職・雇用情勢の光と影

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 東日本大震災が就職や雇用におよぼす影響は、どんなものなのか。被災地情報と原発の現状に関する報道で埋もれがちな地方紙の、就職や労働に関する記事を、いくつかひろってみた。以下、直近の1週間で、「日付」、「地域」、「記事の見出し」、「内容の要約」という順に記してある。

 3月24日。青森。「弘大生にも震災の影響深刻」(東奥日報)。被災地から離れた青森県の弘前大学でも、震災の影響が出ている。「就職予定の企業が福島県の原発事故の避難区域内にあり、先方と全く連絡がとれなくなった学生がいる」ことなどが、人文学部教員の会合であきらかになった。教員は、就職に関する情報の不足をなげく。

 3月25日。青森・岩手。「被災企業で一時解雇、会社解散の動き」(デーリー東北)。震災で津波に襲われた青森県南と岩手県北の沿岸部。同地域では、製造業を中心に雇用への不安が広がっている。会社を解散したり、従業員を一時解雇する動きも増えている模様。被災企業から八戸公共職業安定所に寄せられた「従業員を解雇せざるを得ない」という相談は、3月23日の時点で19件。

 3月27日。神奈川。「製造業中心『休業したい』、企業の雇用相談急増」(神奈川新聞)。取引先の被災や計画停電……。事業が停滞するなか、労働基準監督署やハローワークの労働相談窓口に、中小企業からの相談が激増している。「神奈川労働局が県内企業に対して実施した聞き取り結果によると、製造業やサービス業では計画停電で操業の停止・縮小を迫られたり、取引先の操業停止や物流不全で部品や商品が入らず休業に追い込まれたりしている例が多い」。さらに、県は「今後は県内に避難している被災者への対応も求められそうだ」。

 3月30日。兵庫。「加西の北条鉄道 被災鉄道マンを社員受け入れへ」(神戸新聞)。「加西市の第三セクター北条鉄道は29日、東日本大震災で生活基盤を失った鉄道マンを支援しようと、被災地の三セク鉄道会社4社の社員を合わせて2、3人程度受け入れ、正社員として雇うと発表した」。「北条鉄道は『阪神・淡路大震災を経験した兵庫県の鉄道会社として、できる限り支援したい』としている」。心意気を感じる。

 3月30日。栃木。「新卒者に相次ぐ『自宅待機』 県内大学に震災余波」(下野新聞)。「東日本大震災の影響で、4月に入社を控える県内大学の新卒者が、内定先企業から入社時期の先延ばしなどによる『自宅待機』を命じられるケースが相次いでいる。29日の下野新聞社の調べでは、県内8大学(医大を除く)で、少なくとも4校で21人が休業や経営悪化を理由に、入社時期を延期された。内定取り消しの可能性がある新卒者も3人いた」。

 以上、各地の就職・雇用に関する記事を取りあげてみた。震災後の就職・雇用情勢をひとことでいえば、押し寄せる暗闇と一瞬の光。上記以外の記事をふくめても、やはり震災の「影」となる記事が目立つ。ニュースを読めば読むほど、やりきれない気持ちになる。だが、実情を理解しなければ、対策をねることはできない。もちろん、就職・雇用情勢にかぎったことではないが、「影」の部分に「光」をあてられるよう、困っている人に対して困っていない人が「できる範囲で、できること」を考え、実践する姿勢が求められている。

(谷川 茂)