吉高由里子(撮影:野原誠治)
 チエ24歳。職業OL。彼氏は5人。「時間を有効利用して人生を堪能する」がモットーだったが親友の結婚式をきっかけに“ほんとうの相手”を探す事に。4月1日より公開される映画「婚前特急」は恋愛に自由なチエを中心に、個性的なキャラクター達が本音をぶつけ合うイマドキのラブコメディだ。主人公チエを演じたのは女優・吉高由里子。体当たりで見事なコメディエンヌぶりを発揮した。今回はそんな吉高にインタビューを敢行。自身の恋愛感や理想の家庭像などに迫った。

――今回、吉高さんは5人の彼氏を持つ恋愛に自由なチエというキャラクターを演じましたが、率直にチエには共感できますか?

吉高由里子(以下、吉高):うーん。完全に同じ気持ちにはならないですが、否定する気持ちも全く無いです。周りにそういう子がいても良いかなって思います。

――恋愛は人それぞれ、という感じ?

吉高:そうですね。だから、友達とかにチエみたいな子がいても全然良いと思うし、「やめなよ」とかアドバイスはしないと思います。あと、チエも「いまを楽しく生きる。結婚なんてしない」言葉では言っていても、本心じゃないと思うんです。強がって、素直に「愛して」って言えない子なんでしょうね。そういう所がカワイイです。

――そんなチエも親友の結婚式をきっかけに、“ほんとうの相手”を探すべく、5人の彼氏を査定しますが、一番最初に落選したパン工場の行員「田無タクミ」とのやりとりは衝撃的でしたね。

吉高:あんなに、こっぴどい振られ方無いですよね!

――あんな風に言われたらかなりショックを受けますよね。その後チエが「夢中にさせてから振ってやる!」と一念発起する気持ちも分かります。

吉高:本当に(笑)。ショックを受けると共に自分の浅はかさに改めて気付いて、へこみそうですよね。「こんな事言う人と付き合ってたんだ私…」って。

――その他4人のキャラクターもそれぞれ個性的ですが、吉高さんご自身が一番惹かれるキャラクターは誰ですか?

吉高:キャラクターで言うと、出口道雄ですね。道雄と一緒で私も飽きっぽいので、気が合いそう。彼は新しい趣味を自分で見つけてくるのが上手だから、私も便乗できたら面白そうだなって。

――逆にこのだけ人は嫌!っていうキャラクターは?

吉高:ダントツで堀アキラ! 見てるだけでイライラしますね。仕事が出来なくて。でも途中で急にやる気を出しはじめるのも、またイライラします(笑)。

――そんな色々なキャラクターと触れ合う中、様々な出来事が起こりますが、特に印象に残っているシーンはありますか?

吉高:チエがタクミと留置所の中でケンカして、朝トボトボと帰るシーンがすごく好きで、「無意識に足が求めている人の所に向かうんだ」って思うと胸がキュンとしました。実は、脚本の時は具体的に絵が浮かばなかったんですね。何かドッタバッタしてて忙しいお話だなって。だからこそ、完成した映画を観て、コメディなのに「切ないなぁ」って感じられた事が新鮮でした。

――全体的に笑えるのに、考えさせられるシーンも多い作品でしたね。私は物語の後半で、4人でゴハンを食べるシーンが特に切なかったです。

吉高:本当にそう思う。「私、最初からこの場所にいらなかったんじゃないの?」って思っちゃう。この映画に出てくるキャラクターは全て幼い感じがしますね。実際の23歳とか24歳と比べたらチエは幼い。周りも同じで、だからこそ、ムカつく発言があったとしても、すごくカワイイんですよね。

――みんな自分に一生懸命で素直ですよね。劇中でチエの恋愛は意外なラストを迎えますが、吉高さん自身の理想の家庭像などはありますか?

吉高:具体的にどんな人が良いか、いつ頃結婚したいか、など具体的なプランは今は無いんですけど、いつも笑っている家庭がいいなって思います。子供が出来て、家族が増えてさらに楽しく、みんなで笑っている家庭が理想です。

――映画のラストシーンが未来を感じさせるものであった様に、MONOBRIGHTによる主題歌「DANCING BABE」はポップで元気が出る楽曲でしたね。

吉高:明るくて、テンポが良くて、この映画にピッタリだと思いましたね。これからの日々に期待できる、春にむけて胸が高鳴る感じが好きです。先日、この曲の発売記念イベントが下北沢のライブハウスQueであって、私もゲストとして参加したんですが、MONOBRIGHTとお客さんとの距離がものすごく近くて驚きました! 私も舞台挨拶などをする事はあっても、そこまでの距離の近さは無かったので。

――その時にバンドのメンバーやMONOBRIGHTのファンとどんなやりとりをしましたか?

吉高:私が「MONOBRIGHTさん格好良いですよねー」ってファンの皆さんに呼びかけたら、「いやいやいやいや!」って否定してきて(笑)。「かっこよくはないよー!」とか言ってきて面白かったです。ファンと心の距離も近いんだなって。本人達も飾らない人達ですしね。5人のまとまってない性格がグループになると、まとまるという不思議なバンドでした。

――ご自身は普段どの様な音楽を聴きますか?

吉高:中学校の時からクラシックが一番好きで。あとはSalyuとかサカナクションとかもよく聴きます。最近はちょこちょこ自分で車を運転する事もあって、その時にはレイハラカミをよくかけています。

小さい頃、お母さんが車を運転してる姿ってすごい大人に感じていたんですけど、自分が今運転席にいるって不思議だなって思いますね。このまま色々な事が不思議なまんま大人になってくんだろうなって。子供を産んでも「不思議だなー」って思っていそうな気がします(笑)。

「婚前特急」ストーリー

チエ24歳OL。職業OL。彼氏は5人。 
そんな私が欲しいのは、“たった一人のほんとうの相手”。
24歳のOLチエは時間を有効利用して人生を堪能すべく、5人の彼氏とつきあっている。
いまを楽しく生きるべく、結婚する気などなかったチエだが、親友の結婚がきっかけで、5人の男たちを査定し “たった一人のほんとうの相手”を選ぶことに。
チエははたして最後の一人にたどりつけるのか? チエの“ほんとうの相手”探しが始まった!

映画「婚前特急」特集ページ - MOVIE ENTER