太陽〈熱〉発電は原子力、火力の代替になるのか?

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 地球の資源事情が大きく変化しています。
 中国やインドなど新興国の爆発的な人口増加によって、エネルギー、食料、水の需要が上がり「資源の枯渇」が叫ばれ、さらには環境への悪影響も懸念されています。

 丸紅経済研究所代表の柴田明夫さんが執筆した『資源に何が起きているか?―争奪戦の現状と未来を知る』(TAC出版/刊)では、世界の最先端の資源事情があぶり出されています。
 資源とは、「濃縮されて経済的な場所にまとまってある有用な天然物」のこと。こうした「資源」は生産コストが安いのですが、埋蔵量が限られており枯渇の問題があります。そのため各国で資源対策の動きが活発化し、「資源争奪戦」にまで発展しているのです。

 このような状況の中で明るい話題はないのでしょうか。ここでは、エネルギーの分野の例をご紹介します。

■石油・原子力から太陽熱へ―エネルギーの転換
 21世紀に入り、資源の枯渇や温暖化という危機の中で、自然エネルギーを使った発電が注目を浴びています。太陽エネルギーは、太陽から無限に供給されるエネルギーを使うため、持続可能な社会の形成に大きな役割を果たします。
 そんな中、2010年7月にイタリアのシチリア島で、世界で初めてとなる太陽熱発電所「アルキメーデ」が開設されました。「太陽光発電」はよく耳にすると思いますが、「太陽熱発電」はあまり聞いたことがないと思います。
 実はこの太陽熱発電は、21世紀型の新たな発電方法として、資源や環境の面から注目を集めています。本書では、「無限の可能性をもつエネルギー」として太陽熱発電を取り上げています。

 太陽熱発電は、レンズや鏡で太陽の熱を集め、パイプを流れる液体(水やオイルなど)を加熱し、発生した蒸気でタービン(風車)を回して発電します。また、蓄熱機を用いて昼間の熱を蓄えておくことで、夜間の発電も可能という点において、太陽光発電とは大きく異なります。
 この太陽熱発電は、大きく2つのタイプに分かれています。1つがタワー型太陽熱発電、もう1つがトラフ(雨どい型)太陽熱発電です。トラフ型はすでに実用化されているものの、現在の供給量は低水準です。一方のタワー型は平面鏡を使い、1ヶ所のタワーに熱を集光してその熱を使って発電します。そのため、トラフ型に比べ効率が高いとされており、今後が有望視されています。

 日本では1981年から太陽熱発電の実験が始まりました。その後、採算性の問題で中断されていましたが、ここ数年の環境配慮志向や温暖化を背景に、2010年、東京工業大学が山梨県に実験設備を建設する計画を発表しました。
 また、この太陽熱発電は先進国だけでなく、モロッコ、アルジェリアなどアフリカの国でも導入が進められているそうで、21世紀半ば頃には世界的に広がっているかも知れません。

 他にも本書では、人口増加によって中国が抱えてしまった事情、「水資源」の国家間の争奪戦、食料需要、高騰していく資源価格など、様々な問題を取り上げています。
 本書を読んでいくと、現在の資源をめぐる日本の現状については厳しい部分もある反面、太陽エネルギーや水処理技術などにおいて世界で優位に立っており、明るい兆しも見えています。全世界が巻き込まれる「資源危機時代」をどう乗り切るか、本書を参考にして考えてみてはいかがでしょうか。
(新刊JP編集部/金井元貴)

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