都知事、その強大な権力の源泉とは?

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 4月10日と24日に行われる統一地方選挙。その天王山とも目されるのが東京都知事選挙だ。1999年より3期12年にわたり東京都知事として都政にあたった石原慎太郎氏をはじめ、前宮崎県知事の東国原英夫氏、ワタミ創業者の渡邉美樹氏らが候補者に名を連ねる。

 しかし、どうして東京都知事選は「天王山」と目されるほど重要なのだろうか。それは都知事の権力の強さにある。中央公論新社から出版されている新書『都知事―権力と都政』(佐々木信夫/著)は、丁寧に都知事と都政を説明する一冊であり、都政の全容が明らかになっている。

 “首相より強い「権力者」”とさえ言われる都知事。その根拠として佐々木氏はまず、以下の4点をあげる。

(1)1000万人の有権者から直接選ばれる。
(2)都の予算規模は韓国並みの12兆円、職員数は17万人。さらに都知事の裁量権も大きい
(3)大統領制の都知事は身分が安定し4年間全力投球できる(首相のようにすぐに変わらない)
(4)合議制内閣の首相より、一人で意思決定できる独任制の都知事のほうが、強いリーダーシップを発揮できる


 しかし、これだけではない。都知事というポストが持つ実権としての権力よりも、潜在的な権力が都知事を大きく見せていると指摘する。
 例えば国際社会においても、東京はあまりにも強大な影響力を持つ。金融市場はニューヨーク、ロンドン、そして東京の動きが大きく影響を与える。また、国内においても国内総生産(GDP)の約2割、国税収入の約4割を東京が占有している。主要テレビのキー局が全て東京にあり、情報発信力の高さも見逃せない。

 では、これまでの選挙や当選者にはどのような特徴があるのだろうか。これまで戦後16回にわたって都知事選挙が行われてきたが、佐々木氏は総じて以下のような傾向が見られることを指摘している。

(1)数名の有力候補とそれを取り巻く10人以上の候補者によって争われる
(2)都知事が交代する場合は、全く違うタイプの人物が選ばれる。例えば親しみやすさをウリとしていた青島幸男氏から、強いリーダーシップを期待された石原慎太郎氏というように。
(3)当選者の獲得票は、みな二期目(再選時)に最大得票を得ている。
(4)初当選の年齢が高く、都知事を終える最終就任年齢は70歳に達している人が多い。一期しか就任しなかった青島幸男氏も、62歳で初当選しており、一期目の終わりは66歳であった。


 戦後65年でわずか6人しか就任していない「都知事」の存在を追いかける本書は、都議会や議員報酬、12年間の石原都政の歩みなどがつづられている。これまであまり明るみに出なかった「都政」の姿を知るために、都知事選挙の前に是非とも読んでおきたい一冊だ。
(新刊JP編集部/金井元貴)

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