薄暗いところで本を読むと、視力は低下する?

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震災の影響で電力が不足している今、節電のために、なるべく照明を控えめにしたいと思っている人が多いはず。日中に電気を消して自然光でパソコン作業をしたり、夜は小さなスタンドの灯りだけで本を読んだりしている人もいるのでは? そんなふうに薄暗い部屋でパソコン作業や読書をする生活をしていると、やはり視力は低下するものなのでしょうか。吉野眼科クリニック院長の吉野健一先生にお話を伺いました。

【近視の進行に部屋の明るさは関係ない!?】
そもそも、人はなぜ、どのような要因で近視になるのでしょうか。吉野先生によると、近視の進行には、次のようなことが影響していると言います。

1.遺伝的因子
2.環境因子
 a)長時間、連続して近くを見る作業
 b)強すぎる近視矯正メガネの装用

この中には、部屋が暗いという要因は含まれていません。一般的には「暗いところで本を読むと目が悪くなる」とよく言われますが、実はこれまでに、明るさと近視の進行の関係に言及した医学的な報告はないのだそうです。
ただし、だからと言って、薄暗い場所でいくらパソコン作業や読書をしても、まったく視力低下の心配がないわけではありません。なぜなら、暗かろうと明るかろうと、近くで長時間ものを見続ければ、近視が進行する可能性があるからです。

「特に暗いところでは、本やPC画面から距離を置くと見えにくくなってしまうので、かなり近い距離から見ることになります。そのことが近視進行の原因になることはあります」(吉野先生)

また、人は近くを見るとき、自律神経の働きで瞳孔を縮めます。一方、光量が多い明るいところでは瞳孔を縮め、暗いところでは、眼内にたくさんの光を取り入れて、より見やすくするために瞳孔を広げます。

「したがって、暗いところで近くを見る作業をすると、相反する反応を行うことになり、目の疲れにつながるということは言えるでしょう」(同)

【疲れ目ケアには、パックが効果的】
視力低下を防ぐためには、部屋の明るさに関係なく、なるべく長時間近い距離でパソコン作業や読書などを続けないことが大切。延べ時間にすると同じ作業時間でも、細切れで作業すると近視の進行は少ないそうなので、長時間作業する場合は、ときどき休憩をとって目を休めるといいでしょう。
薄暗い部屋での作業の後、目の疲れを感じたときには、タオルを使ったアイパックがオススメ。ドライアイや目がショボショボする疲れ目には、お湯にタオルを浸して絞ったホットパックを。逆に、目が充血して目の周辺に熱っぽさを感じるときは、冷水にタオルを浸して絞ったアイスパックが効果的です。

目の健康には、適度な時間の質の良い睡眠をとることも大事なので、睡眠が不足気味の人は、早めに消灯して就寝すると、目の疲れも回復できますし、さらなる節電にもつながります。
適度に目を休め、疲れ目をケアして、節電生活をストレスなく乗り切りましょう。

文●本居佳菜子(エフスタイル)

※「疲れ目ケア」についての補足
自宅で自分でできる対策をした上で、それでも解消しない目の疲れを「眼精疲労」と呼びます。これは治療の対象となりますので、眼科への受診をお勧めします。緑内障を始めとした他の疾患が原因であることや、正しい眼鏡の処方や薬物治療が有効な場合もあるからです。

吉野眼科クリニック:http://www.yoshino-eye-clinic.com/




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