『AERA』と『ポスト』 どっちもどっち

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福島第1原発の事故とその後の経緯に日本中が注視するなか、3月19日発売分の表紙に「放射能がくる」と書いた雑誌『AERA』(朝日新聞出版)が、おもにネットで批判されている。さっそく、買って読んでみた。

たしかに、表紙はあおりすぎだ。さらに、「東京に放射能がくる」とか「原発恐慌と日本経済破綻」などといった記事の見出しも、不必要な誇張が感じられる。しかし、各記事を読んでみると、新聞やテレビ、そしてほかの雑誌で流通しているような報道が繰り返されているにすぎない。

一方、「日本を信じよう」と表紙に書いた3月21日発売分の『週刊ポスト』(小学館)が、「すばらしい」「永久保存版だ」などとネットを中心に賞賛されている。こちらも買って読んでみた。筆者からいわせれば、こちらの表紙もあおりすぎである。ポジティブなコピーに合わせて、感動を誘う写真を使う。

『AERA』は、私たちはダメかもしれないとあおり、『週刊ポスト』は、私たちはぜったい大丈夫とあおっている。原発の放射能漏れに対する関心が高まり、被災地復興のめどがたっていない現状では、ネガティブな論調で目を引こうとする雑誌もあれば、ポジティブな視点で購読者を増やそうとする雑誌があるのは、商業誌なのだから当たり前の話だ。

情報を収集するツールの中心が紙媒体からネットに移行するなか、新聞や雑誌への注目度が激減しているのは周知の事実。にもかかわらず、あらさがしのネタとして、“ネット”で“雑誌”が注目されるのは、なんともいえない皮肉を感じる。

ところで、この一件で筆者がもっとも引っかかるのは、批判されたとたんに『AERA』が謝ってしまったことである。雑誌の本質、すなわち「売れてなんぼですから」などといったら、火に油を注ぐことになるであろう。だが、どのような意図で「放射能がくる」の号が編集されたのか、もっとくわしく説明してから謝罪しても、おそくはなかろう。

(谷川 茂)


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