書店員が選ぶ『学生時代に読んでおけばよかったと思う3冊』(2)
 世の中にはあんな本やこんな本、いろんな本がある。そのテーマも十人十色。「感動したい本が読みたい!」「思いっきり怖い本を味わいたい」と思っても、 どんな本を選べばいいのか分からない! とお悩みの方も多いはずでは?
 そんなときにあなたの味方になるのが書店員さんたちだ。本のソムリエ、コンシェルジュとしてあなたを本の世界に誘ってくれる書店員さんたち。
 そんな彼らに、テーマごとにお勧めしたい本を3冊答えてもらうのが毎週水曜日に配信する、この「わたしの3冊」だ。【「わたしの3冊」バックナンバーはこちらから】

 2011年3月のテーマは卒業シーズンにちなんで『学生時代に読んでおけばよかったと思う3冊』! 今回登場してくれたのは、吉祥寺の名物書店ブックス・ルーエの花本武さんだ。どんな本を「読んでおけばよかった」と思っているのだろうか。

◆『ジュ・ゲーム・モア・ノン・プリュ』

著者:ブルボン小林
出版社:筑摩書房
定価(税込み):840円

学生時代に読んでおきたかった本なんてありませんよ。いつ読んだっていんですから。
でも強いて挙げるならこれですね。ブルボン小林さんで『ジュ・ゲーム・モア・ノン・プリュ』。この本は「なるべく取材せず、洞察を頼りに」をモットーとするコラムニスト、ブルボン氏の本領がいかんなく発揮されたテレビゲーム評論の金字塔的な一冊です。
私は学生時代ほとんどテレビゲームに夢中になれず、斜にかまえていたクチです。どうしても波動拳が出せませんでした。かろうじてテトリスは得意でしたけど、ぷよぷよは苦手という筋金入りのスノッブ野郎です。ゲーム得意だった人のほうが大人になって健全な社会性を身に付けるような気がします。私も取材より洞察を頼ってます。ま、ですからこういうしっかりしたゲーム理論(意味が違いますが)を学生時代に蓄えていればもっと健全に育っていたかなと思うんですよね。

◆『女子校育ち』

著者:辛酸なめ子
出版社:筑摩書房
定価(税込み):819円

学生時代に読んでおきたかった本なんてありませんよ。いつ読んだっていんですから。
でも強いて挙げるならこれですね。辛酸なめ子さんで『女子校育ち』。これまた著者の能力がストレートに打ち出された名著です。
私は女学生という存在に憧憬あるいは心酔する者の一人ですが、その中でも女子校というのは、あまりにも現実から遊離していて、憧憬心酔を越えて警戒を発動せざるをえません。罠かもしれない。ハニートラップかもしれない。と。だがこの本で女子校の実態を知ると、そうだったのか!と一部の警戒を解除、別のどこかをさらなる警戒といった具合に万全の態勢を整えることができます。学生時分からそのあたりを巧く運べていたら、もう少し潤いのある青春を送れた可能性もあろうはずです。実に残念だったかもしれませんね。

◆『言えそうで言えない敬語』

著者:本郷陽二
出版社:朝日新聞出版
定価(税込み):735円

学生時代に読んでおきたかった本なんてありませんよ。いつ読んだっていんですから。
でも強いて挙げるならこれですね。本郷陽二さんで『言えそうで言えない敬語』。
上下関係が本当に大変なのは、学生という説もあります。あるかな。あるとおもいます、私は。運動がそんなに好きじゃなくて、得意でもなかったにも拘わらず、体育会系の倶楽部活動に長らく従事していた経験を持つ者として、ちょっぴり早く生まれただけの先輩を神扱いしなければならない理不尽を卒なくかわせる方法は完璧な敬語にあり、と喝破したい。敬語で圧倒するのです。少々脱線しますが、土下座で無法者を圧倒する漫画「どげせん」は素晴らしい作品です。漫画表現にかくも広大なフロンティアが残されていたことに驚愕です。まあ、そういう意味での圧倒です。「あやまる力」というタイトルの新書をどなたか書かれてみてはいかがでしょうか。

【選者プロフィール】
今回3冊を選んでくださった花本さんは2F(文庫・新書・学習参考書・児童書)担当。ですが、文庫や新書に捉われないユニークなフェアを展開し、フリーペーパー「ルーエの伝言」を編集。隠れファンも多いとか…?

◇   ◇   ◇

【今回の書店】
■ブックス ルーエ

住所:東京都武蔵野市吉祥寺本町1-14-3
TEL:0422-22-5677

■アクセス
吉祥寺駅中央口から徒歩2分(中央口正面のサンロード商店街を直進、進行方向右手)

■営業時間
AM9:00〜PM10:30

■ウェブサイト
http://www.books-ruhe.co.jp/index.htm

【関連記事】 元記事はこちら
『学生時代に読んでおけばよかったと思う3冊』(1)
秩父の小さな中学校で生まれた卒業定番ソング「旅立ちの日に」を追う
人生で成功するために重要なのは勤勉さ?それとも幸運やコネ?
就職活動にまつわる「都市伝説」のアレコレは本当か?

【新刊JP注目コンテンツ】
すぐ使える仕事英語――英語公用語化、外資系のリアル(新刊ラジオ 第1369回)
もし会社の公用語が英語になったら!?『すぐ使える仕事英語』特集