こんにちは、咲村珠樹です。今回の「宙(そら)にあこがれて」はイベントレポ。さる3月20日に開催された航空宇宙ジャンルのイベント「東京とびもの学会2011」についてご紹介します。

コミケットなど、大規模な総合イベントにおいては「メカ・ミリタリー系」ジャンルの一部として取り扱われている、この航空宇宙ジャンルですが、この他のジャンルでも航空宇宙系の作品(空や宇宙を舞台にした創作作品や、飛行機旅行を題材にした旅行記など)を発表しているサークルがたくさんいます。これら複数ジャンルに散らばっている各サークルが一同に会し、互いに交流することができたら……という趣旨で始まったこのイベント、今回は東京都板橋区にある「板橋区立ハイライフプラザいたばし」を会場として開催されました。

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さて、このイベント「学会」と銘打っていますが、いわゆる学術系の団体や会合ということではなく、あくまで航空宇宙ファンのイベントです。
「学会」まで含んでイベント名称なので、例えるなら、まんが家の渡辺電機(株)さんの「(株)」が株式会社を示していないのと同様だ、と思っていただければいいかもしれません。
基本は同人誌即売会の体裁を踏襲しており、それに付随して参加者のお宝展示や、映像によるプレゼンテーションなどの様々なイベントが同時に進行する……というものです。
2010年12月には、テレビ朝日系『タモリ倶楽部』でも取り上げられました。もちろんイベント開催と取材のタイミングが合わなかったので、ビルの屋上で「雰囲気を再現」というものになっていましたが……これはその撮影に使用されたパネル。会場に展示されていました。

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東北地方太平洋側地震や、それに続いて発生した長野・新潟県境の地震、静岡県東部の地震などの様々な影響があり、はたして参加者は集まってくれるのだろうか……と主催者側では危惧していたそうですが、数サークルが被災したり、交通手段が整わずに会場まで行くことができなくなって欠席したものの、一般参加者を含めてなかなかの盛況でした。
ただし、大規模余震などの不測の事態に備えて、緊急地震速報を受信できるようにしていたり、地震に対する備えをしつつ、会場照明の一部を消灯し、暖房も切るなどの節電を行いながらの開催です。

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同人誌即売会の様子。
最近の同人誌即売会では、お目当てのサークルだけ回って、それが終われば帰る……といった傾向が一般参加者に見られるのですが、ここでは何度も見て回ったり、サークルの方と談笑したりして長く会場にとどまる、といった光景が見られました。
なんだか1980年代の即売会のような温かさです。また、他の即売会に較べて参加者の年齢層が高いせいか、マナーの悪い人も見かけず、落ち着いた大人の雰囲気だったのも印象的でした。

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頒布されている同人誌ですが、ミリタリー系や民間航空、アメリカで毎年開催されている航空イベント「リノ・エアレース」の本などといった航空機関係や、ロケット・宇宙機を取り扱った本などがズラリ。中には流体力学を解りやすく解説した本までありました。

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宇宙機では「はやぶさ(MUSES-C)」本が印象的でした。
放出時における探査機(はやぶさ)本体の姿勢が悪く、小惑星イトカワに着陸できずに、宇宙の迷子になってしまった探査ローバー「ミネルバ(MINERVA)」を主人公に据えた本(右下写真中央)もあり、深い思いが伝わってきます。
ちなみにこの本の表紙に使われている紙は、特種東海製紙製の「新・星物語」というもの。
コピー誌の醍醐味とも言えるのですが、本のジャンルに合わせた紙選びが素敵です。

同人誌だけでなく、オリジナルの飛行機折り紙(複雑なフォルムをよくぞ!)や、昨年の今頃開催された「コみケッとスペシャル5in水戸」でも展示された痛凧(IKAROSの凧もありました。他の凧より若干重いので、ある程度の風が必要とか)、「あかつき(PLANET-C)」「だいち(ALOS)」「みちびき(準天頂衛星 初号機)」などの手作り宇宙機グッズもありました。

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キャノピーが開閉するF-14Aのコクピット周りのモデル(試作品展示)や、同人ゲーム初の3Dフライトシューティングゲーム(「エースコンバット」シリーズ的なもの)も。写真はサークルの方がデモプレイをしてくだすったものですが、画面表示が二重になり、プレイヤーが3Dメガネをかけているのがお判りかと思います。3Dになったことで、非常に「飛んでる」感が強いものになっていました。

お宝グッズの展示では、様々な航空宇宙に関するグッズがズラリ。来場した参加者の関心を集めていました。

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個々のグッズを見ていくと、興味深いものがたくさん。中には「なんでこんなものが!?」という文字通りのお宝まで。左写真は日本ロケットの父、糸川秀夫さんのサイン色紙と、日本初のロケット、ペンシルシリーズの実物。
左からペンシル(全長230mm)、延長形のペンシル300(全長300mm)、二段式ペンシル(全長460mm)です。奥に見えるのは宇宙科学研究所(ISAS。現在はJAXAの一部)が開発した固体燃料ロケットのパンフレットの数々。右写真は旧ソ連軍の戦闘機パイロット用ヘルメット、酸素マスクと、MiG-21戦闘機の操縦桿。

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また、宇宙関係の切手の展示もありました。「実際に人工衛星を打ち上げた国で発行したもの」をメインに収集されたもので、特に旧ソ連の切手が充実していました。

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個人的に大好きなのが、この右写真にある旧ソ連の無人月面ローバー「ルノホート」。世界で初めて別の天体に送り込まれ、活動したロボットです。
全長222cm、幅160cmの走る電気釜みたいな愛らしいデザインで、月面をとことこ歩き回って(1号・2号合わせて数十km)は写真を撮ったり、土壌分析などをしたのでした。ちゃんと夜間はフタを閉じて本体を保温しつつ寝る……といった機能もついているのがかわいいんですよ。
他に珍しいところでは、スウェーデン初の人工衛星「ヴァイキング」打ち上げ記念(1986年)切手や、北朝鮮が外貨稼ぎで発行した宇宙切手(描かれている宇宙機のデザインがあやしいものに……)などもありました。

また、映像を使ったプレゼンテーションでは、2010年のリノ・エアレースや、陸上自衛隊の富士総合火力演習、RCプレーンのインドア競技などの映像紹介や、流体力学の簡単な講義などが行われました。その最後に、飛び入りでTBSの鈴木順アナウンサーが、先日の東北地方太平洋沖地震でヘリコプターに乗って取材した際の裏話を披露してくれました。

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こういった時に、マスコミのヘリコプターはどのように運用されるのか(福島第一原発周辺は、半径30kmの範囲に飛行禁止空域が設定されていますが、TBSではヘリコプター運用会社の独自基準で、60kmまでしか近づかないなど)、応援でやってきた系列の他局(静岡放送)のヘリに搭乗した際に感じた、放送局ごとに異なる機体の仕様など、生々しい現場ならではの貴重な話に、参加者は興味深く聞き入っていました。

様々な要因が重なり、開催が危ぶまれたイベントではありましたが、主催者側の尽力、参加者の協力などで大きなトラブルもなく、無事閉幕しました。一部のサークルをはじめとする参加者からは、今回に於ける自分達の売り上げを「東京とびもの学会」名義で震災義援金として寄付して欲しいとの申し出があり、イベント終了後、日本赤十字社に寄付したそうです。

また次回も開催予定ですが、開催時期については3月か10月頃に限定される形になるそうです。
これは1、2月はコミケット後で参加者に余裕がない、4月以降は航空祭などの航空宇宙イベントシーズンに入り、週末に参加者がそちらに行ってしまう、9月はコミケット後でやはり余裕がない、11月以降はコミケットの準備で参加者が集まりにくい……という事情を考慮すると、必然的に開催時期が限られてしまうようですね。
同人誌を手に入れるだけでなく、展示など様々な面で楽しめる「東京とびもの学会」。次回開催時に訪れてみて、航空宇宙趣味の奥深さ、面白さを堪能して頂けると幸いです。

▼「東京とびもの学会」公式サイト
http://tokyo.tobimono.org/

■ライター紹介
【咲村 珠樹】

某ゲーム誌の編集を振り出しに、業界の片隅で活動する落ちこぼれライター。
人生のモットーは「息抜きの合間に人生」
そんな息抜きで得た、無駄に広範な趣味と知識が人生の重荷になってるかも!?
お仕事も随時募集中です。

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