アップルとグーグル スマートフォン市場の戦略の違い

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 日本の携帯電話市場において、「スマートフォン」という言葉がすっかり定着し、NTTドコモ、au、ソフトバンクといった国内の携帯キャリアがシェア争いを繰り広げている。
 一時はソフトバンクがiPhoneを獲得して一人勝ちの状態が続いたが、2010年に入ると、ドコモがアンドロイドOSを採用した端末を立て続けに発売。出遅れていたauも、昨年後半からアンドロイド端末を発売し、一大キャンペーンを展開している。そしてメディアはこれを「iPhone 対 アンドロイド」という対立構造で報道した。

 そうした状況において、本書のタイトル『iPhone vs. アンドロイド 日本の最後の勝機を見逃すな!』(アスキー・メディアワークス/刊)は刺激的であろう。著者はドコモのサービスである「iモード」を立ち上げた1人として知られる夏野剛氏だ。
 では、本書はiPhoneとアンドロイドの対立構造を描いているのかというと、そうではない。冒頭から夏野氏は「iPhone対アンドロイドという図式は間違っている」と指摘する。

 そもそも、iPhoneを製造するアップルと、アンドロイドOSを開発・提供するグーグルは競合しない。それはそれぞれのコアコンピタンス(中核をなす強み)の違いにある。

 まず、アップルは端末とコンテンツサービスを一体化して提供している。つまり、ハードそのものを売り、儲ければよいのである。
 一方のグーグルのコアコンピタンスは検索連動型広告であり、その露出場所をいかに増やすかが至上命題となっているという。アンドロイドはその手段の1つであり、アンドロイドOSを採用するスマートフォンが増えれば増えるほど、広告が表示される機会は増えていく。
 夏野氏は、「インターネットへの接続時間を増やすことで・・・広告が表示される機会も増えていくという仮説に基づいて、グーグルはビジネスモデルを組み上げている、とわたしは考えている」(本書p41)と述べている。そして、現状のグーグルはアップルのみならずどのレイヤーとも競合していないというのが、客観的な見方であるとしている。

 本書では、日本の携帯電話の歴史を振り返りながら、携帯電話業界の最先端をあぶりだしている。そこからスマートフォン市場の未来を垣間見ることができるだろう。
(新刊JP編集部/金井元貴)

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