「報道・解説・評論」を3本の柱として1959年に創刊された週刊誌『朝日ジャーナル』。週刊誌ジャーナリズムの黄金時代を築いたとも評される雑誌ですが、1992年に休刊したせいもあり、若い世代の方にはあまり馴染みのない名前かもしれません。

 そんな『朝日ジャーナル』が3月15日、『週刊朝日』緊急増刊号の復刊第2号として発売されました。かつては錚々たる著名な作家や評論家が寄稿していた『朝日ジャーナル』だけに、復活号の執筆陣も豪華。そのすべてを紹介したいところですが、スペースに限りがあるため、今回は評論家・内田樹さんによる『朝日ジャーナル』論を紹介しましょう。

 「『朝日ジャーナル』は戦後の一時期、きわめてホットなメディアだった」と内田さんは言います。当時はなぜそう感じたのか、内田さん自身にもわからなかったそうですが、今振り返ってみると「誌面に『父たち世代のルサンチマン』を読み取っていた」からと思うそうです。

 その「父たち世代のルサンチマン」とは何か。内田さんは『朝日ジャーナル』を「戦争の加害者でありかつ被害者でもあったこの『父たち世代』の人々、敗れた戦争、大義のない戦争が唯一の戦争経験であるかのような世代がようやく手に入れたメディアだった」と評します。

 「この世代の人たちは『家族にも言えないこと』を抱えて、戦後半世紀を生き、そのまま黙して死んだ。(中略)父の世代のサラリーマンにとって、『朝日ジャーナル』を会社のデスクの上に置くことは、上司たちに向かって、『あなたたちが戦後日本を支配してきた時代はもう終わった。これからは私たちの時代なのだ』という無言のメッセージを発信することだった」

 内田さんは『朝日ジャーナル』が父たち世代の声、それも上の世代に対する反抗表明として機能したと語ります。だからこそ、そうした「声」に触れた内田さんたちの世代は、父たち世代の声を受け止めなければならないという「世代的義務感」を感じたそうです。
 
 ジャーナリズムとは「言葉にならないもの」を掬い取るためにあると言われます。そういう意味で、かつての『朝日ジャーナル』はジャーナリズムとして歴史的価値があったと内田さん。では、新時代に向けた増刊号にはどんな「言葉にならないもの」が込められているのか。読者ひとりひとりが見つけ出さなけらばならないでしょう。



『朝日ジャーナル 日本破壊計画』
 著者:
 出版社:朝日新聞出版
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