本書『中国−この腹立たしい隣人』はニュースキャスターの辛坊治郎さんが、「中国に勝つために」こそ、「彼らを知り、我々を知る」ことが必要だとして、中国を奥の奥まで知り尽くした孔健さんに、中国の「政治」「経済」「社会」「文化」などについて、数々の質問をぶつけていく書籍です。孔健さんは、あの孔子の第75代直系の子孫。
 
 そのなかで辛坊さんは、「反日デモに参加している人々は中国において、果たして多数派なのだろうか?」という疑問を投げかけます。というのも、実際に辛坊さんがニュースの仕事などで上海あたりを歩いても、「日本、あるいは日本人に対しての敵意を感じることはほとんどない」からだそう。

 また、中国では日本のアニメやドラマが普通に消費されており、不買運動などが起こることもありません。「日本人に対する敵意というのは、もしかして、(テレビの)画面で切り取られた一部の世界に過ぎないのでは?」と辛坊さんは問います。

 「実のところ、中国人のほとんどは日本人に対して悪い印象を持っていない」と孔さん。特に「海の中国」と呼ばれる沿岸部に関しては、日本のポップスやアニメに触れて育った若い世代も多く、日本に敵対心を抱くような人はまれだとか。
 
 しかし、それでも反日デモが連日のように報道されるのはなぜでしょうか。上海などに代表される「海の中国」に対し、「中国にはもう一つ『山の中国』という言葉がある」と孔さんは言います。反日デモが頻発するのは、主にこの「山の中国」に当てはまる重慶や成都といった地域だそう。

 「『山の中国』は急激な発展をした結果、経済格差も急激に拡大している。『海の中国』で大卒ですら就職が難しいのだから、『山の中国』ではさらに厳しいはずだ。そのような状況のもとで、学生や労働者の不満が鬱積していたことは容易に想像できる。中国共産党と政府を批判できない今の中国で、反日デモは一種のガス抜きを果たしている」(孔さん)

 実は尖閣諸島事件でも、「海の中国」の人々の中には中国船の船長に批判的な人が実は多かったといいます。それほど地域によって日本への印象は異なるため、日本企業が中国に進出する際には、どこに進出するか非常に気をつけなければならないそうです。

 広大な土地に13億人以上もの人々が暮らしている中国だけに、ある地域だけを見て「中国は〜だ」と評するのは難しいのかもしれません。



『中国 この腹立たしい隣人』
 著者:
 出版社:実業之日本社
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